パートナーがアメリカに帰国したので、今年の夏に彼女を訪ねることにした。アメリカで夏を過ごすのは初めてだったので、パートナーは楽しい夏のイベントをたくさん計画してくれた。例えば、野球の試合を見に行ったり、カーニバルに行ったり、独立記念日にバーベキューをしたりした。そして、あるイベントが最も際立っていた。それは初めて「ルネサンス・フェア」に行ったことだった。
ルネサンス・フェアはアメリカだけのものではないが、アメリカ各地で毎年開催され、多くの人々を魅了する。ルネサンス・フェアとは、歴史的な舞台(多くはイギリスのルネサンス時代)を再現してゲストを楽しませることを目的とした屋外の催しである。一般的に、仮装した芸人や見物客、音楽や演劇、美術品や手工芸品の販売、祭りの食べ物などが含まれる。常設のテーマパークもあれば、見本市会場やワイナリーなどの広いスペースを使った短期間のイベントもある。
最初に行ったフェアは、バージニア州リッチモンドのレイク・アナ・ワイナリーでの短期フェアだった。短期間だったので、ほとんどの設備はテントで、トイレはポータブルトイレだった。また、豪華なパフォーマンスのある本格的なルネサンス・フェアというよりは、マーケットという感じだった。
私たちが行った2つ目のフェアは、ウィスコンシン州ケノーシャで開催された、もっと大規模で常設のルネッサンス・フェアだった。商人たちが店を構えるために建てられた中世風の建物もあったし、なによりちゃんとしたトイレもあった(前のフェアでポータブルトイレを使うのは耐えられなかった)。せっかくなので、私たちも仮装した。パートナーはカジュアルな騎士、私は魔女として行った。いろいろなパフォーマンスを見たが、なかでも馬上槍試合は圧巻だった。気温32度ぐらいのなか、馬上で甲冑に身を包んだ出演者たちがどうやって耐えられるのか、すごく感銘を受けた。馬上槍試合は2部に分かれ、最終部は死闘になるようだった。しかし、パートナーの妹は他のパーフォマンスを見たがっていたので、残念ながら馬上槍試合のグランドフィナーレを見ることはできなかった。
パートナーは、フェアがあまりにもオタクっぽいと思っているので、一緒にフェアに行くことを申し訳なく思っているようだった。しかし、正直言って、ドレスアップして歴史的な雰囲気に浸ってとても楽しい時間を過ごしたので、連れて来てくれて本当に良かった。
制作チーム
林 玉文(りむ よくまん)
シンガポール生まれのマレーシア人。京都精華大学アニメーション学科卒。仕事はウェブデザイン、エディトリアルデザイン、パッケージデザインなど。趣味はドリーミーな漫画やイラストを描くこと、ヴィーガン料理。