自然食屋の手作りビーントゥバーチョコレート
私が突如としてジェラート職人になったのが2017年。その翌年にはイタリアのジェラート国際コンテストで入賞することができ、おかげさまでその後も連続して入賞することができました。この入賞の連続もあって、それまでは単なる自然食屋の冴えない親父だった私が、やや華やかな製菓の世界に入り込み、より広いお客様との出会いが生まれました。
ジェラートに並行して、私が自然食品をフル活用してレシピを生み出した 「ジャンクでないジャンクフード」 を提供するレストランもスタートすることになり、お菓子にはあまり関心のない従来からの弊社のお客様にも気軽に来ていただける場所を作りました。
このジェラート、レストランと続く取り組みのなかで、自分はものづくりや食を通じてお客様とつながることが好きなのだということ、そして食品の機能性を引き出すことが楽しいと感じていることを、強く自覚するようになりました。そこで、かねてから関心のあったカカオの食機能を従来のレベルからはるかに引き上げるようなチョコレート作りに着手することを決め、コロナ禍のなかで準備を進めていったのです。コロナ禍での国際貿易の混乱もあって、目をつけていたカカオの入手が大幅に遅れてしまい、『カカオレート』と名付けた私たちのチョコレート作りはかなり遅延してしまいました。しかし、2023年にはオープンすることができ、ちょうど3年目の節目を迎えようとしています。ジェラートと同様に、オープン当初からエントリーを続けてきた世界的なチョコレートコンテストでも最初から入賞を繰り返すようになり、弊社のお客様はもちろんですが、現在ではザ・リッツ・カールトン・東京様や、京都のバンヤンツリー系列のラグジュアリーホテルであるギャリア二条城京都様でも宿泊者の皆さまに提供いただいています。
私たちが大切にしているのは、口にしていただくお客様にとってカカオレートが「心の薬」であると同時に、カカオを生産してくれている生産者さん、そして彼らのコミュニティがより幸福であり得るよう「社会の潤滑剤」として機能することです。だれかの痛みや悲しみ、苦しみを土台にした素材を、いくら美辞麗句でマーケティングしようとも、そこには食べる人の力を奪う方向性のエネルギーが働きます。私たちがものづくりで目指しているのは、どこまでいっても人に力を与える食べ物を作ることであって、大量に作ることや、だれかの犠牲を前提に多額の利益を得ることではありません。残念なことに、チョコレートとそれに類する産業は、コーヒーやバナナ等と同様に、搾取を前提にしたビジネスモデルが当たり前になっています。だからこそ私たちは、生産者から直接カカオを買い付け、私たちと生産者との間にだれも存在しないことで透明性を確保し、より多くを生産者に支払うことを重視しています。
カカオレートが、食べる人、関与する人すべての幸せの源泉になれますように。
