前回に引き続き足指についてお話ししたいと思います。今、足指でお困りの女性はとても多いのではないでしょうか……。代表的なものとしては外反母趾があげられます。またそれとは反対に内反小趾というものもあります。外反母趾は親指が外側に向いてしまうので指の付け根の関節のところが靴に当たって痛くなったり歩くときに痛みを感じるものです。また、それと反対に内反小趾は小指が親指側に向いてしまい、足の痛みや身体のバランスが悪くなったりするものです。そのほかにも指自体が床から浮いてしまっている浮指や、いつもスリッパなどを履いているとスリッパが脱げないように指を屈めてしまっている屈み指などがあります。指が変形するのは、持続的に悪い力が悪い方向にかかるために、足が変形していくもので、足の形態の変化により機能的でなくなってしまいます。扁平足やハイアーチの足がおこる原因としても、その構造がとれないような骨格構造のバランスに問題があるのではと考えます。
本来は足のお医者さんで診てもらうことが大切ですが、歯科医師からの視点で足を診ると、かみ合わせが大きくずれると頭の重心がどちらかに変化し、それを補正するために頸が曲がりそして背骨が曲がり骨盤がずれ足の長さが変わるというような変化が起こります。足の長さが左右違う時点で直立時に均等に立つことはできません。真っ直ぐ立とうとすると身体に捻れを生じます。この均等に立つことが出来ない状態でさらに歩いたり走ったりすると、身体のバランスは加速的に歪んでいきます。そしてつまずいたりしてけがの元となるのです。また身体の重心が前後左右どちらにあるかで身体のひずみ方が違い、それを補正するために、その局所の状態として外反母趾などの足指の症状が現れるのだと思います。
靴は外国、洋装から入ってきた物です。日本は草履、下駄、着物が元々の物です。(刻々と時はかわっていますが。) ここで問題となるのは欧米人と日本人の骨格の違いです。欧米人はどちらかというと顔の幅が狭く頭の前後が長い長頭型で、日本人はどちらかというとモンゴロイド系で顔の幅は広く頭の奥行きが短い短頭型なのです。 生活習慣も食べてきた物も違います。骨格が違うことにより齒のかみ合わせも違っているので、西洋で勉強してきたままを日本人に当てはめようとすると無理が生じる場合もあるのです。日本人のかみ合わせはとても繊細で難しいのです。骨格に伴い背骨のS字状弯曲や足の形なども全く違いますから、海外の有名ブランドの細い靴を無理して履こうとすると日本人はかなり無理を強いられるのではないでしょうか。
足指を広げて伸ばすと身体の重心も変わり、それによっても歯のかみ合わせが変わることがあります。
足の痛みや変形などの本当の原因を探すことはとても難しいですが大切です。身体は繋がっているので歯が原因で足が痛いなど、原因と結果が違う所にある場合もあるかもしれません。
田中 利尚
田中 利尚氏 歯科医師.整体師 日本抗加齢医学界専門医 国際統合医学界認定医 「咬合(かみあわせ)を制する者は歯科をも制す」という、歯科医学の見落とされている最も大切な力学的調和という根本理論に触れ、かみあわせを追求。しかし身体が変位していると良いかみ合わせを構築できないところに西洋医学の限界を感じ統合医療を目指し東洋医学(整体)を勉強。 顎が痛い、お口が開かない、首肩の凝り、腰痛、うつ病までを含む顎関節症の治療にも取り組んでいる。 「健康は歯から」を確信している。 |