前回まで世界を平和にする方法(=最高の子育て方法)を説明しましたが、「そうは言ってもなかなかできません」という方が多いと思います。なんとか少しでも実践できるようにもう少し詳しくこの心の仕組みを説明したいと思います。
「本当にやりたいことをトキメキを感じながらイキイキとやって、幸せを感じること」の反対は「やりたくないことをイヤイヤやって、不平不満をいう」ということになります。好きで後者を選ぶ人はいないと思いますが、その状態になっている人が多いのではないでしょうか? 日本人が大好きな「がんばる」もその一種です。なぜそういう状況を引き寄せてしまうのでしょうか? 文句言うくらいなら最初からやらなければいいのに!! と自分で書いた文章に対してツッコミをいれたくなります。それでもやめられないから苦しいんですよね。
「やりたくないのにしていること」とは言い換えると、「やるべきこと」「やらなくてはならないこと」。まさに前回まで説明してきた「現状否定・自己否定・アドレナリン」の世界の考え方です。このままの自分ではダメ。このままでは認めてもらえない。だから「がんばる」を続けてきたというパターンが多いようです。では誰にダメ出しをされ、誰に認めてもらえないのか?その正体はお母さんです。
幼いころに、お母さんが幸せそうではないと感じた子どもは、お母さんのことを幸せにしたいと思います。誰かがお母さんを傷つけていると思ったら、お母さんを守ろうと考えます。お母さんが悲しんでいたら、喜ばせようとします。お母さんが不機嫌だったら、笑わせようとします。お母さんが自分のことを見てくれていないと感じたら、振り向いてもらおうとしたり、認めてもらおうとします。お母さんに嫌われないように、いい子でいようとします。お母さんが機嫌よくしているかどうか、顔色を見ます。ただお母さんに笑顔でいてほしいから、子どもはけなげにいろんな行動をします。
この思いが、頭にプログラムとして定着します。お母さんに認めてもらうために、お母さんを笑顔にするために、お母さんを守るために、お母さんを喜ばせるために、お母さんに嫌われないために、「~するべき」「~してはいけない」「~をがんばる」「いい子でいる」「空気を読む(顔色をみる)」というプログラムをつくります。このプログラムは無意識に繰り返されるうちに、「お母さんのために」という部分が抜け落ちても、起動し続けてしまいます。
みんなに認められないといけない。
みんなに嫌われてはいけない。
みんなを喜ばせないといけない。
空気を読まないといけない。
ちゃんとしないといけない。
真面目にしないといけない。
いい人でないといけない。
それらのことを頑張らないといけない。
このプログラムは世間の常識と一致していることが多いので、そうすることが正しいことだと「頭」は判断します。そうしないことなどありえないとまで思います。しかしそれに心が伴っていないと、苦しさを感じます。その時、心は「本当はしたくない」「本当は別のことがしたい」と感じているのです。
山内昌樹
医師 山内昌樹氏 平成19年まで一般小児科医として診療を行うかたわら、統合医療を志しYHC矢山クリニックで小児科を担当。平成22年12月佐賀市内に『統合医療やまのうち小児科・内科』を開院。 医師となってから、重病の患者さんが劇的な回復をすることや子どもの生命力の素晴らしさなどを経験するも、個人差を考慮しない画一的な治療、ステロイド薬や免疫抑制剤の副作用など、西洋医学の限界を感じる。 漢方薬や代替療法と西洋医学を融合して治療を行うYHC矢山クリニックで小児科を担当、病気の真の原因を学び、実際の診療で効果が見られることを経験。 |