昨年夏以降、インフルエンザとコロナウイルスの感染が急増し、この冬には当院も開院以来最多の患者数を記録しました。その状況下で、疲れがたまり昼休憩に横になっていました。「いつまでこの状況が続くのだろう」と憂鬱な気分でいると、「気づき」が訪れました。「誰も自分の幸せを邪魔することはできない」という事実です。一見そんなわけないと思うかもしれませんが、順を追って説明します。
以前紹介したワークに、心のなかで「幸せだなぁ」とつぶやいて、「そういえば……」に続く言葉を考えてみるというものがありました。「今日のご飯、美味しかったなぁ」「花がきれいに咲いていたなぁ」など、もし幸せだとしたら一体なにが幸せなのかの理由を考えてみてください。どんなに不運でも、星占いのランキングが最下位でも、必ず幸せな理由があるはずです。「住む家がある」「今日食べるご飯がある」「目が見える」「手足が使える」、さらに「空気が吸える」というのも理由になります。もし今日住む家がなかったら、食べるご飯がなかったら、空気がなくなったらと想像してみてください。リアルに思い浮かべると、「今、住む家があってよかった、幸せ!」「空気があってよかった、超幸せ!」と感じるでしょう。
このワークを続けていると、ネガティブな出来事があっても、気持ちの切り替えがだんだんと早くなります。イライラしても、「まぁ、いいか」とすぐに思えるようになります。調子の良いときだと、心から幸せを感じられるようになります。ますますワークを続けていると、幸せでいることが当たり前で、ネガティブな感情がときどきやってくる、と感じるようになります。
思考は常に問題を見つけて、「大変だ! なんとかしなくちゃ!」と忙しくし続けています。思考に巻き込まれていると、ずっとネガティブな気分が続くでしょう。「幸せだなぁ」と感じているときは、頭が抱えている問題を一旦手放している状態なのです。ワークを続けて気づいたのですが、人は思考がなければ基本的に気分が良くなるようにできていると思います。ちなみに、逆もまた真で、気分を良くすると思考を手放しやすくなるのです。
この冬、忙しすぎてネガティブな気分になっていました。どうにかして気分を変えようと試行錯誤し、幸せはどんなに辛いときでも感じられるはず!とワークを続けていました。いつでも、どこにいても幸せを感じることができる状態になると、それまではネガティブな状態とポジティブな状態を行ったり来たりしていたのが「元来、人間は幸せである。しかし、ときに思考しすぎて不幸を感じるときがある」ということに気づきました。そこから続いて「僕の幸せは誰にも邪魔することはできない」と気づくことができました。自分を不幸にするのは自分の思考だけなのです。ただし例外もあります。僕は頭痛持ちなのですが、あまりに忙しいと頭痛がやってきます。ゆっくり休む暇がないと、痛みから食欲低下、吐き気、嘔吐と症状が進みます。強い痛みがあると、幸せと思う余裕はなくなります。痛みがそれほど強くなる前であれば、この心境になると少し痛みが軽くなったり、痛み始めであればなくしたりすることも可能です。「痛みは人の尊厳を損なう」と緩和ケアを学んだときに教えていただきましたが、身を持って理解できました。自分らしくあるために、痛み止めと上手に付き合うことも必要かもしれません。
「誰にも自分の幸せは邪魔できない」と感じられたとき、深いリラックスが訪れました。それまでは、無意識に「誰かが自分を害するかもしれない」と、心が防御態勢をとっていました。軽い緊張状態が続いていたようです。幼少期のトラウマかもしれません。まだ完全に常時リラックスとはいきませんが、大きな気づきになりました。みなさんもワークをやってみてください!