口と鼻の間にある鼻唇溝という溝の中に「人中」というつぼがあります。人の中心という意味なのかはわかりませんが、私は常々口元というのは身体のどの部分よりもその人の「心 」を表すものだと感じています。見た目や美容の面からだけではなく、歯を治療することで歳を重ねても機能的に円滑に美味しくお食事が出来るよう筋肉を働かせることができ、それにより口元が整うことはとても大切なことです。
食べ物を充分に咀嚼して(一口30回以上)唾液と混ぜ合わせて食事することは、発がん物質の発がん性をも下げ、身体の免疫力を上げて病気の予防にも繋がります。厳密にいえば今持っている病をも克服するだけのエネルギーを吸収できるのです。
また口は相手に思いを伝えるために言葉を発するという大切な働きがあります。日本の言葉には、言霊が宿り、かな、カタカナ、漢字各々にその時々で深い意味をもたらします。
いつも他人を傷つける言葉を発していたり、何だか一言多いという人は鼻の下の溝(鼻唇溝)が歪んでしまうといいます。どの様な状況であってもせめて、自分の口から出る言葉は常にあたたかい前向きな言葉を発していきたいものです。
アメリカのニュージャージー大学の元教授で歯科医師のハロルドワース先生が「口」について唄った詩がありますのでご紹介します。
口は人間にとってすばらしいものだ。
それは人間の情緒においても、
日々の生活にとっても、
また人の美しさにとっても……。
口 ― それは、
今まさに私が生きていることを
表わしている。
もし動物が歯を失った時、
その動物の死を意味する。
歯を失ったとき
彼らは生き続けることが不可能であり、
その生は終わりを告げ、
やがて彼らは死んでいく。
人間にとって、口は会話を楽しみ、
愛を語り、しあわせ、よろこび、
怒り、 悲しみを表わす。
口は愛情の入り口であり、
食べ物をとり、生き、
そうして人間は栄えていく。
だからこそ、
口はどんな犠牲を払おうとも、
十分な注意と管理を受けるだけの
価値を持っている。
歯を機能的に維持することで、美しさを保ち質の高い人生を送りたいものです。
田中 利尚
歯科医師 整体師 日本抗加齢医学会専門医 国際統合医学会認定医 「咬合(かみあわせ)を制する者は歯科をも制す」という、歯科医学の見落とされている最も大切な力学的調和という根本理論に触れ、かみあわせを追求。しかし身体が変位していると良いかみ合わせを構築できないところに西洋医学の限界を感じ統合医療を目指し東洋医学(整体)を勉強。 顎が痛い、お口が開かない、首肩の凝り、腰痛、うつ病までを含む顎関節症の治療にも取り組んでいる。 「健康は歯から」を確信している。 |