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法の舞台/舞台の法

日常のなかにある法律問題踊る弁護士の活動報告

弁護士/舞踏家

和田 浩 (わだ ひろし)

1977 年新潟県柏崎市生まれ。京都大学総合人間学部卒業。弁護士として、さまざまな分野の事件に取り組んでいる。なかでも、障害者の権利に関する案件に多く携わっている。他方、舞踏家として舞台活動もおこなっている。福祉、芸術、司法の連携について、あれこれ考えている。
縁(えにし)法律事務所 
京都市中京区新椹木町通二条上る角倉町215
075-746-5482

児童生徒の就学先決定の手続き②

投稿日:

前号は、大阪・関西万博のことを取り上げましたが、今号は、再び以前の連載に戻り、インクルーシブ教育について取り上げたいと思います。

具体的には、現行の学校教育法における、障害のある児童生徒の就学先決定のプロセスの大枠についてご紹介した前々号の続編になります。

就学先決定のプロセスの大枠

まず、前々号でご紹介した内容を要約すると、現行の学校教育法では、「視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)」のうち、学校教育法施行令22条の3に掲げられた表に規定する程度の障害等を有する子(以下、「障害者等」といいます)以外の子については、市町村教育委員会が、地域の学校へ就学する指定をする一方、障害者等については、市町村教育委員会が、地域の学校と特別支援学校のいずれを就学先とするのが相当であるかを判断する仕組みになっています。

つまり、障害者等以外の子については、特別の判断を経ることなく地域の学校に就学する決定がなされますが、障害者等については、地域の学校と特別支援学校のいずれを就学先として決定するかにつき、市町村教育委員会における判断が必要になるのです。

では、市町村教育委員会は、障害者等の就学先を決定するにあたり、どのような手続きを踏むのでしょうか。

保護者及び専門家の意見聴取

現行の学校教育法施行令18条の2は、同施行令22条の3に掲げられた表に規定する程度の障害等を有する子について、市町村教育委員会が進学先を決定する際には、「その保護者及び教育学、医学、心理学その他の障害のある児童生徒等の就学に関する専門的知識を有する者の意見を聴くものとする」と定めています。

すなわち、市町村教育委員会は、障害者等の進学先を決定するにあたり、その保護者の意見と、専門家の意見を聴く必要があります。

ここでいう専門家の集団が、就学支援委員会という機関です。ただ、この就学支援委員会は、インクルーシブ教育を推進する意見や市町村の意向に反する意見を出しにくい構成になっているとの指摘もなされています。

他方、保護者の意見聴取に関しては、文部科学省の通達があり、市町村教育委員会が実施する学校教育法施行令18条の2に基づく意見聴取に関し、「保護者の意見については、可能な限りその意向を尊重しなければならない」とされています(25文科初第655号(平成25年9月1日))。

すなわち、この通達からは、市町村教育委員会が障害者等の就学先決定をするにあたり、専門家の意見よりも保護者の意見を重視すべきことが導かれます。

そして、最終的に、市町村教育委員会は、保護者の意見と専門家の意見を踏まえ、特に保護者の意見を尊重し、対象となる障害者等の就学先を決定することになります。

なお、就学先決定にあたり、保護者の意向を尊重することが通達において定められているものの、現実には意向が尊重されていないという指摘も存在しています。

シンポジウム

以上、児童生徒の就学先決定の手続きについてご紹介しました。

ところで、12月7日(日)午後2時から、京都弁護士会館において、京都弁護士会が主催するシンポジウム「インクルーシブ教育の現在とこれから〜ともに学び、ともに育つ社会の実現に向けて〜」が開催されます。

オンラインでの参加も可能です。ご興味のある方は、どうぞご参加ください。イベントの詳細は、京都弁護士会のH‌Pをご覧ください。

- 法の舞台/舞台の法 - 2025年12月発刊 vol.219

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