これまでAIの周辺について書いてきましたが、今回は私自身の具体的なAI活用例である、個人向けインテリジェンス機関の実験的プロジェクト「ひとり通信社」をご紹介します。
事の発端は、私たちが接するメディア環境への強い違和感でした。ネットの普及で大量の情報に触れられるようになりましたが、既存メディアによる情報の取捨選択や恣意的な解釈は、ときに受け手に偏った視座を植え付けます。
例えば「イランによるホルムズ海峡封鎖」。私たちの目には「イランのわがまま」という解釈ばかりが映り、当事者各々の「正義」の全容が語られることは稀です。敵国の言い訳のように報じられるイラン側の考えの裏には、本当はどんなコンテキストがあるのか。
私はこの問いにテクノロジーでアプローチし、世界各国のニュースを横断的に収集して、多極的な思考を可視化しようと考えました。従来ならシンクタンクが多数の人間と高額な費用をかけておこなう分析を、AIを活用して「ひとり」で実現する。それが「ひとり通信社」です。人のためよりも私自身が知りたかったのです。
世界16メディアの「報道の差異」をAIで可視化する
私はGoogle Geminiと対話を重ね、実用レベルのシステムを構築しました。毎朝自動稼働する「ひとり通信社レポート」(https://solowire.cozybay.club)の主目的は、単なる要約ではありません。世界中のメディアが発信する情報の「視点や解釈の乖離」を分析することです。Geminiの高度な言語処理能力を用いて、同一事象に対する報道姿勢の差異や、特定のナラティブ(物語)が構築される過程をあぶり出します。
観測対象は、日本の主要メディアをはじめ、欧米(AP、CNN、DW、France24など)から、中東(アルジャジーラなど)、ロシア、中国、そして各種新興国まで、世界16のニュースサイトに及びます。
このシステムは、「毎朝」これら多様なソースからニュースを吸い上げ、記事を要約、評価し、分析までAIがわずか30分で終えます。レポートを読むと、ある国で大々的に報じられる事件が他国では無視されていたり、同じ出来事でも表現の違いで印象がまったく異なっていたりするなど、普段のニュースがいかに限定的かが浮き彫りになります。この「報道の差異の可視化」は毎日が驚きと発見であり、中立な視点を持てているという自信にも繋がっています。
最大の収穫は「作業の効率化」ではなく「視座・能力の拡張」でした。AIが私の限界を超え、冷徹に事実と解釈のピースを並べることで、単一の正解が存在しない複雑な「生の世界」の姿が見えてきます。
「ひとり通信社」はAI生成物の著作権の観点から、現在、最新レポートの閲覧には無料の会員登録(ログイン)を必要としています。ただし、1週間以上経過した「アーカイブ」であれば、ログインすらせずにどなたでも読めます。
もし読者の方が、日々の国際ニュースの取り上げ方に違和感を抱いていたり、自分の見ている世界が少し偏っているのではと疑問を感じていたりするのなら、ぜひ一度、覗いてみてください。AIが照らし出すメディアの狭間に隠された「視点の乖離」は、あなたに新しい世界の見方を提示してくれるはずです。
なおニュースソースはすべて英語です。AIは主にアメリカで開発されていますから英語のほうが得意なのです。英語ですべて分析して最後に日本語でレポートを作っています。ウェブサイトでは当然両言語で提供しています。


ひとり通信社
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