この季節になるとお味噌作りの話題を色々なところで耳にします。
私がお味噌を仕込んでもらっている十日町の若井さんも毎年、2月から3月にかけてお味噌を仕込んでいらっしゃいます。「どうして昔の人はこの時期にお味噌を仕込んだのかしら?」と伺った時は、「冬で農作業も出来なくて時間があるから」と教えていただきました。
でも……自然の摂理から考えると2月の立春を超えて春になるまでのこの時期が一番自然の力を利用して生命力が高くなるということがわかります。
自然界のリズムでは2月の立春を超えると地球上にはたらく力は上昇のエネルギーへと変化します。柔らかく、膨らませる力です。冬の間に氷のようにずっと固まったエネルギーをとかしていくそんなエネルギーが働くこの時期が、一番発酵しやすいときなのです。夏に向けてそのエネルギーは活発になり、活性化させる力が高まります。そして、どんどん発酵のエネルギーが高くなるのです。そのエネルギーは秋に落ちつき、冬に熟成し、その自然の巡りを体験することでお味噌の力は高くなってゆくのです。
マクロビではその巡りを3回体験すると生命力が高くなるので、自然治癒力を高めたい時には3年間熟成させたお味噌を食べるといいとお伝えしています。
私はマクロビを通して自然の摂理を学びましたが、昔の人は多分このことを肌で感じ、お味噌を冬の時期に仕込んでいたのだと思うと、私達の生活の中には自然の力や巡りが常に一緒で、それを使うことで私達の生活には命が育つ環境が何も考えなくてもあったように思います。それ以外にも、お味噌の栄養についても肌で感じ、戦国時代にはお味噌が武士にとってはなくてはならない栄養補助食品で、伊達政宗や武田信玄は戦に勝つために味噌を作るための大豆を沢山農家の人たちに作ってもらっていたそうです。弥生時代から形は違ってもずっと、お味噌は私達の生活の中に存在しています。栄養学的な説明がなくても、データがなくても人はその価値を感じる力を持っていたのだと思います。
お味噌を作るのはそんなに難しいことではありません。上手くできるかどうかは別として、皆さんにお味噌作りを体験して欲しいなと思っています。
大豆をクツクツとたく時間、すり鉢で丁寧に大豆を潰す時間、麹と塩と大豆を混ぜる時間、瓶にお味噌を仕込む時間、熟成するまで1年間待つ時間。
どれもが贅沢な時間の流れです。便利で簡単になんでも手に入る時だからこそ、自分の手でお味噌を育てるそんな贅沢な時間が、きっと新しい未来を発見させてくれるように思うのです。そして、その体験を積み重ねることで美味しさの発見や楽しさが必ず見つけられると思うのです。
これからの未来は昔からずっと大切にしてきたものをもう一度生活の中に取り入れてみる。そんな時間から生まれてくると思っています。昔からずっと大切にしてきたものを見直すと生活にゆとりが生まれ、命が育つ環境を手に入れる事ができるのだと思います。
忙しいからこそ、時間を使ってみる。それが今の私にとっては一番の贅沢な時間の流れです。
中 美恵
.。゚+..。゚+.☆ 今月のMie’s
Recipe ☆.。゚+..。゚+ |
|||
|
中美恵
中美恵(なか みえ)氏 KII認定 マクロビクッキングスクール校長 東京南青山プライベートサロン Mie’s Room 主宰 1997年に、KII認定マクロビオティックカウンセラー・中広行氏と出会い、料理法や理論を学び始める。 2000年「おいしく、楽しく」をテーマにした「マクロビクッキングスクール」を大阪に開校し、全国に展開。現在は料理に留まらず、マクロビオティックに出会うことで多くの可能性を手に入れた自身の経験を活かし、「年を重ねるごとにキラメキを増す」「今の時代に望まれる素敵な女性」をテーマに、多彩な場面で活躍中。 中美恵公式サイト https://miesrecipe.jimdo.com/ >> |