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もうひとつの穴から覗いたら

視点を変えて心と身体を捉え直すボディワーカーのつぶやき

プレマ株式会社
プロモーションセクション
ボディワーカー

寺嶋 康浩 (てらしま やすひろ)

関西大学工学部卒。ディレクターとして企業の宣伝に携わる傍、
クラニオセイクラルやポラリティセラピーなどの療法を学ぶ。
身体と対話し身体から思考のクセや感情を解放していくあり方をUnfolding Bodywork としてまとめ伝えている。
趣味はダンス。1級電磁波測定士。健康経営アドバイザー。

自身の「喜び」を真ん中に置く

投稿日:

うまくやろうと意識すると楽しくなくなるのはなぜ?

家族で応援しているシンガーソングライターがいる。三女が中学生のときの同級生だ。彼女の初めてのワンマンライブは100人が集まり、ライブハウスは人で溢れかえっていた。彼女の歌声には心に響くものがある。声には人生が表れるといわれるが、私より二十歳も年下の彼女はどんな人生を歩んできたのだろうかと想像してしまう。歌っているときの彼女からは、歌うことが好きで、人前で歌えることに喜びを感じていることが伝わってくる。すると、こちらまで嬉しくなって、応援したい気持ちが込み上がってくる。
 
昨年、ファッションショーのオープニングのダンサーとして出演依頼を受けた。とまどいもあったが、依頼してくれた人の気持ちが嬉しくて受けることにした。しかし、それからすぐに踊りがつまらなくなってしまう。踊れば踊るほど辛くなってくるのだ。私は身体が動きたいように動かすことで踊りになるコンシャスダンスをしている。それは自己探求のための踊りで、振り付けがなく人に見せるためのものではない。私はその即興で表現される踊りになんともいえない生命の美しさを感じている。だから、それをあえて人前で踊っているのだ。しかし、依頼を受けてから、気づかないうちに、どう動けば美しく見えるのかとパフォーマンスを意識して踊ろうとしていた。そもそもパフォーマンスのダンスの経験がないのに、うまくやろうとしても無理がある。辛いのは当たり前だ。それに気づいたら、身体の力が抜けて元のように楽しく踊れるようになった。
 
「好きなことだけをして生きていく」と言う人がいるが、前出の彼女のように喜びが身体から溢れている人は少ない。喜びがあって始めたけれど、人に受け入れられるようにうまくやろうとした途端、自身の喜びからズレてしまうのだろう。自身の喜びを真ん中に置き続けることができれば、それを見た周りの人にも「喜び」が波及して応援される人になるのかもしれない。
 
イベント当日、不思議な体験をした。30mのレッドカーペットの上で7分間踊ったのだが、100人以上が見ていても、人の目がまったく気にならず、途中のハプニングにも動じることなく踊り切った。後悔も不安もない。終始、自分と繋がり続け、満たされたという感覚があった。ピアノを弾いてくれた妻や、衣装を作ってくれた友人に支えられて生まれたものだろうか。なにか大切なものを手にした気がする。

※1 シンガーソングライターasage:https://music.apple.com/jp/artist/asage/1511150008
※2 世界中で急速にダンス人口が増えているジャンル。踊る瞑想とも呼ばれている

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