病気を治すためには、薬が必要な場合もありますが、病気を予防したり、根本的に治癒するためには、免疫力を高める必要があります。免疫力を低下させる大きな原因の一つが体温低下です。全身だけでなく局所的な体温低下は、その部位の免疫力の低下を引き起こします。また、身体の冷えている部位では、血流が悪化しています。その大きな原因は、身体の緊張です。抹消の血管を収縮させるのは自律神経の交感神経の働きです。交感神経はアドレナリン、ノルアドレナリンで活性化します。それらが分泌されるのは、心や身体にストレスを感じたときです。つまり身体を酷使したり、ネガティブな感情を抱いたりすることが巡りめぐって病気の原因になっているのです。

身体を酷使することも、「疲れていてもがんばらなければならない」という思い込みが原因であることが多いので、結局ネガティブな感情が病気になる最初の「きっかけ」であることが多いといえます。

これまでもさまざまな方法でネガティブ感情を減らす方法をお伝えしてきました。それらのどの方法も最終的に目指すところは、「自分を愛すること」だと思っています。私達は意識するしないに関わらず、現状を否定する思考で頭のなかが支配されています。「何々しなくっちゃ！」「もっとがんばろう！」「あー失敗した！」「むかつく！」「このままじゃダメだ！」など。そのなかでも最も自分を傷つけるのが自分に対するダメ出しです。「私が悪かったから」「私のせいで」「私がちゃんとできなかったから」など自責的な思考が起きたとき、身体に緊張が走ります。現状を否定する思考や自責の念がきっかけで自律神経（交感神経）が乱れることになります。

「ここまではオッケーだけど、これ以上はダメ」という自分を責める基準は人によってまったく違います。その基準は自分の母親の価値観でできています。子どもは、物心がつく前から、どんなときに母親の機嫌が良くて、どんなときに機嫌が悪くなるのか、母親の言動を観察して育っていきます。母親の機嫌が良くなることはやっていいこと、悪くなることはやってはいけないことという基準が幼い心に刷り込まれます。そうやって善悪の基準ができあがります。この基準は思春期に両親に反抗できれば壊すことができ、「自分と親は別の価値観を持った別の人間である」と解釈の変更ができます。反抗期がなかったり、反抗が弱かったりすると、母親の価値観を持ち続けて生きていくことになります。意識に上ってくるかどうかわかりませんが、心の奥底には、母親に怒られないように、嫌われないように、心配させないようにという基準を持って生きていくことになります。それは、「ありのままの自分でいてはいけない」と自分を否定している状態です。

自分を愛することは、心と身体の緊張を解き、リラックスをもたらします。そのままの自分でいていいんだという、大きな喜びと安心が得られます。ただ、自分を愛することはとても難しいチャレンジです。いつも意識をしていないと、頭のなかですぐに現状否定が始まるからです。現状否定する思考も自分自身なので、その思考ごと自分を愛する必要があります。思考によって他者や自分を裁く自分と、思考によって裁かれる自分を、両方とも愛する必要があるということです。

これから紹介するアファメーションは、自分を愛するという抽象的なことを具体的な言葉にしたものです。繰り返し唱えることで、徐々に自愛や現状肯定が当たり前になっていきます。
「ダメな自分でもいいよね」
「できないときがあってもいいよね」
「そんなときもあるよね」

自分を愛し赦すことができれば、人目を気にせず自分の人生を生きることができるようになります。さらに他人を赦すことができるようになります。