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くま先生のすこやか診察室

「子どもも親も、家族みんなの笑顔と幸せのために」総合医療くま先生からのメッセージ

統合医療やまのうち小児科・
内科医師

山内 昌樹 (やまのうち まさき)

小児科医として勤務していたが、西洋医学の素晴らしさを感じつつ心から望む医療と現実のギャップに悩み、軽度のパニック障害を経験。YHC矢山クリニックで小児科 を担当し、病気の真の原因を学ぶ。お母さんの自己肯定感を取り戻すことが家族みんなを笑顔にし世界を平和にすると確信している。
〒849-0915 佐賀県佐賀市兵庫北5丁目8-7-2
0952-33-8500
http://www.yamanouchishounika.jp/

眠れない夜は

投稿日:

布団に入って目を閉じたのに、頭が冴えて眠れない。そんな夜を過ごしたことはありませんか。「早く眠らなきゃ」と焦れば焦るほど目が冴えてしまい、時計を見てはため息をつく。診察室でも「眠れないんです」というご相談は、お子さんからお母さん、ご高齢の方まで、多くの方から寄せられます。かくいう私自身も、たまに眠れない夜があります。

眠れない夜、頭のなかではなにが起きているのでしょうか。たいてい思考がグルグルと回っています。「今日あの一言を言わなければよかった」という後悔や、「明日うまくいくだろうか」という心配や不安。体は布団の中で休んでいるのに、頭だけが過去と未来を忙しく行ったり来たりしています。思考がグルグルしているとき、私たちの体は「なにか問題が起きている」と判断し、緊張のスイッチ(交感神経)がO‌Nのままになります。呼吸は浅くなり、鼓動は少し速くなり、体は軽い臨戦態勢。これでは眠れないのも当然です。不眠は「心に負荷がかかっていますよ」と教えてくれる、大切なサインです。

診療では、眠れないのを敵にしないこと、をおすすめしています。「眠れない自分はダメだ」とジャッジすると、それがまた新しい思考と緊張を生んで、ますます眠りから遠ざかってしまいます。「今夜は心がおしゃべりしたい夜なんだな」と、まず認めてあげましょう。それだけで体の力が少し抜けることがあります。

そのうえで、簡単なワークをやってみましょう。布団の中で、おなかに手を当てて、ゆっくりと腹式呼吸をします。コツは、ゆっくり長く吐くこと。息を吐くとき、体は自然とお休みモード(副交感神経)に切り替わります。そして、ゆっくり呼吸を続けながら、自分の思考を観察してみましょう。「明日の心配をしているな」「昼間のことを思い出しているな」と、良い悪いのジャッジをせず、ただ眺めるだけです。慣れてきたら、その思考がどこから湧いてくるのかも、観察してみてください。どこから生まれるのかはわかりませんが、湧き出る源を探そうとすると、不思議なことに、思考が消えることがあります。

なぜこれが眠りに役立つのでしょうか。眠れない夜、私たちは思考と自分が一体になり、心配事の世界を生きています。ところが思考を「観察」した瞬間、思考と自分の間に距離が生まれ、心配事は「頭のなかを流れていくもの」に変わります。すると「問題が起きている」という警報のボリュームがダウンし、緊張のスイッチがゆるみ、体は安心して眠りの準備を始めます。途中でまた思考に巻き込まれても大丈夫です。「あっ、今考えていたな」と気付いて、また呼吸と観察に戻れば良いのです。眠ろうとがんばる必要はありません。呼吸を感じて「いま、ここ」にいるだけで、体は十分に休まっています。

もう一つのワークをご紹介します。ゆっくり呼吸をしながら両手を胸に当てて、「ありのままの自分でいていいよ」と、心のなかで何度も自分に言ってあげましょう。体は「安全だ」と感じたときに、睡眠のスイッチが入ります。胸に当てた手のぬくもりは、安心のホルモン(オキシトシン)の分泌をうながし、興奮をしずめることが知られています。そして「ありのままでいていいよ」という言葉は、自分へのジャッジをやめる宣言です。「がんばらなきゃ」「ちゃんとしなきゃ」と自分を追い立ててきた心に、「もう闘わなくていいよ」と休戦の合図を送ってあげましょう。優しく自分に寄り添えたとき、心と体は深いところから安心して、眠りへの扉が自然に開いていきます。

眠れない夜は、あなたが昼間、それだけ一所懸命に生きた証拠でもあります。どうか自分を責めずに、ゆっくり息を吐いて、がんばった自分をねぎらってあげてください。

- くま先生のすこやか診察室 - 2026年9月発刊 vol.228 -,

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