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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

最小限で生きる

投稿日:

この夏、私はこれまでやったことのないことにひとつチャレンジしてみようと思い、スキンダイビングのライセンスを取得しました。スキンダイビングとは、いわゆる素潜りのことで、一般的なスキューバダイビングのように空気の入ったタンクを背負って長時間海に潜ることを目的とするものではなく、あくまで自分の一呼吸で取り込んだ酸素だけを頼りに、身軽に潜るスタイルをいいます。私がこのように書くと、「中川さんはさぞかし泳ぎが得意なのだろう」とお思いになるかもしれませんが、私の泳力は10メートルにも満たず、つまりカナヅチのまま小学校を卒業しました。小学校の体育の授業でも、プールは中耳炎だ、熱があるなどと言って、サボれるだけサボってきました。大人になってからも、プールや海ではただ浸かるだけが基本で、特にそこでなにかをすることはありませんでした。海や湖に親しむようになったのは50歳を過ぎてからのことで、コロナ禍に娘が「楽しい」と言うのでS‌U‌P(スタンドアップ・パドルボード)を体験し、板から落ちては浮き上がり、また立っては落ちるという経験がなんだか楽しくて、やみつきになってしまいました。

還暦を意識すると

普段、私はあまり自分の年齢を意識しないタイプなのですが、来年還暦を迎える友人のパーティーの幹事として手配などをしつつ、自分自身は今年の夏も海を楽しむ計画をしていました。そこでシュノーケリングなどのツアーの要項を読んでいると、『年齢60歳未満の、心身ともに健康な方』という条件が目に入ってきます。これまでも同じような海のツアーに申し込んできましたが、この年齢制限についての記載を現実味をもって受け止めたことは、いまだかつてありませんでした。私が還暦に至るまでにはあと5年ほどの猶予がありますが、5年なんてあっという間です。せっかく海に親しむようになったのに、あと5年でその楽しみに制限がかかってくると思うとなんとも言えない気分になり、『海中に潜ることについての正式なライセンスを持っていれば、会社によっては60歳を過ぎても参加を受け入れてくれるのではないか』と勝手に想像して、ライセンス取得コースに申し込みました。

実際、シュノーケリングのツアーを催行している人に聞くと、この数年は年齢を問わず、シュノーケリング中に突然死する人が以前とはまったく違うレベルで異常に増えているようで、連れて行くほうも、とにかくビクビクしているのが実際のところだというのです。これは、国民の多くがよかれと思って体内に入れた薬品の影響だとは思うのですが、幸い私はこのようなことはしていませんし、S‌U‌Pについてはインストラクター資格まで取得しましたので、無理さえしなければ、連れて行ってもらうときに迷惑をかけるリスクを、さほど高くない状態にできるのかなと思っています。

真の脱力

さて、スキンダイビングの講習が始まり、先生の話を聞いていると、とても興味深いのです。先生は潜水士の資格も持っている方なのですが、「スキンダイビングで酸素を外から取り込むことなく長く潜るためには、とにかく酸素の消費を最小限にしなければなりません」「そのためには、いかに無駄な動きをしないか、酸素を多く必要とする筋肉を使い過ぎず、力を抜いて動きを最小限にするかが重要になってきます」とのこと。確かに、当たり前のことを当たり前に説明されているだけなのですが、私たちは普段そのようなことを意識することもなく、無意識に筋肉を使い、また酸素を吸って、二酸化炭素を吐いています。

さらに聞いていると、「特に酸素を多く必要とするのは、筋肉だけではなく脳もそうです。いろいろ考えごとをしているだけでも酸素を大量に消費するので、長く潜ることはできません。なにも考えず、無心で潜ることが大切です」と言われます。

理屈は理解しました。さて、海での実習となったのですが、先ほど学んだことも、つい最近までカナヅチで沈むことしかできなかった私には、苦行のような練習や課題ばかりでした。大量の海水を飲みながら、なんとか課題は一通り、最低限のレベルながら合格としてもらったのです。海での講習中は、教わったことを思い出す心の余裕などほとんどなく、課題をこなすことに必死でした。

そして今、落ち着いてこの原稿を書きながら改めて先生の話と私の海中での醜態を思い出しますと、とても大事な原則ばかりだったと思うのです。ほとんど瞑想指導のような内容であると同時に、私たちはいかに力み、無駄なことをたくさんして、意味もなく苦しんでいるのでしょうか。

講習後にはウミガメを見に防潮堤の外へ連れ出してもらい、ライフジャケットをつけることもなく、ウミガメと泳ぐ時間もありました。彼らの優雅な動きを間近で見ていると、私たちがいかに無駄な動きと焦りに苛まれているのか、思わず考えさせられます。私の身体もだんだん衰えていくのでしょうが、それに対応できるよう、力を抜いた生き方ができたら素敵だな、などと思いつつ、宮古島の海をあとにしました。

髪を内側から美しく

夏の日差しは肌だけではなく、髪にも強いダメージを与えます。紫外線だけではなく、大量の汗とともに分泌される皮脂やそれにまとわりつく空気中の汚れなど、健康的な髪を維持するためにはしっかりしたケアが必要です。高級アミノ酸系シャンプーとして、20年以上変わらない処方でずっと継続的にご購入いただいているお客様がとても多いのが本品とトリートメント。ダメージヘアにも、カラーしたヘアにもぜひお試しください。

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最小限で生きる

- 中川信男の多事争論 - 2026年9月発刊 vol.228 -, , , ,

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