元タカラジェンヌの男役という華やかなキャリアから、美的食ライフアドバイザーへ。友麻夏希さんがたどり着いたのは、心身を調和させる健やかな生き方でした。自分らしく道を切り拓いてきた友麻さんに、これまでの道のりを伺いました。

本名は「美佳」。友麻さんにとって「美」とは、「本来の美は内側から醸し出されるもの。『真善美』を忘れず、在り方そのものを磨いていきたい」と話す
アンビエ代表/美的食ライフアドバイザー
友麻 夏希(ゆうま なつき)
大阪市生まれ。1983 年宝塚歌劇団入団、1987 年新人賞受賞。新人公演で 5 回連続主演を務め、1990 年結婚を機に退団。専業主婦を経て、2007 年に独自メソッドを構築。運動や食生活を指導し、受講生の 8 割以上が長年継続するなど厚い支持を得ている。現在は母の介護のなか、認知機能予防活動にもあたっている。呼吸法を軸に、魂と肉體の調和と成長を促すトータルサポーターとして活動中。NPO 法人日本ホリスティック医学協会 専門会員
▶︎公式サイト:https://yuma-blog.net
華やかな世界から
次なるステージへ
—— 子どものころからタカラジェンヌに憧れていたのですか?
地元に宝塚音楽学校附属の「宝塚コドモアテネ」という学校があって、日舞やバレエ、声楽を習っていました。学校の文集には、「宝塚スターになりたい」と書いてたんです。
—— 宝塚といえば「清く正しく美しく」で、厳しいイメージがあります。
昭和の時代ですから、一年目から厳しい教育を受けました。すべてが連帯責任で、私は成績トップとして上級生への報告役を任されていたので、休憩時間すらなかったです。母が同期生の分までお弁当を作って持たせてくれていたのですが、私は最後まで食べられなくて。帰りの駅のホームで、ひっそりと食べてました。毎日、口から心臓が飛び出しそうなくらい必死に過ごしてましたね。
その後、宝塚歌劇団に入団後は男役になり、ありがたいことに新人公演でも何度も大役をいただきました。本当に恵まれていたと思います。練習はつらくても、舞台の真ん中でピンスポットを浴びると、すべてが報われる気がしたんです。
宝塚は、まるで竜宮城みたいな別世界。一方で、私はもともと現実的な眼でも世界を捉えていました。
小学一年生のときに悟ったことがあって、転んで傷ができるとかさぶたになって治るけど、また転んで傷ができる、その繰り返しだなって。「生きるって、こうして次々と課題がやってくるものなんだな」と思ったんです。ですから、舞台人として、好きな芸事で人に喜んでいただきたい、成長したいという想いはありながらも、「もっと、もっと」と地位や名誉を追うことよりも、大事にすべきことがあることにも気づいていました。この先の人生を考えたとき、「舞台で羽根を背負って階段を降りるより、子どもを背負いたい」と考え、お見合いをして寿退団したんです。「もったいない」と言われても、私は自分の道を行こうと。
宝塚では、人間形成の大切な時期に、人様に喜んでいただくことの尊さを学べたことが大きかったです。
—— 当時から、健康にも関心があったのでしょうか?
そうですね、同期生と買い物に行くと、私がいつも商品を裏返して原材料欄を確認するので、「あなたはいつも裏を見るのね」と言われてました。楽屋でもリンゴ酢のお湯割りを飲んでいましたし。もともと私はひどいアトピーがあって、肌のコンディションは悩みの種でした。それも「薬にばかり頼らず、どうしたら未然に不調を防いだり改善したりできるのかしら」と探究するきっかけになったんです。
—— ご結婚後は、生活ががらりと変わったのではないですか?
専業主婦になり、毎日掃除をして、ごはんを作る。それが嬉しくて仕方なかったですね。最初はリンゴの皮むきもできなかったのですが、当時の義母がとても料理上手で、全部教えてくださいました。自分だけでなく、家族みんなの食生活を整えなければという意識もありました。その義母が「おいしいわね」「努力家ね」と、上手に褒めてくださるんです。そのおかげで、食の世界にどんどん興味を持つようになりました。
でも、しばらくそんな生活をしていると、神様が「そこで終わりじゃないよ」とでも言うように、思いがけないことが起きたんです。
内面の清らかさと
美しさを磨く
—— なにが起きたのでしょうか?
家庭の事情で、すべてがゼロになるような時期がありました。離婚も経験し、「なにか仕事をしなければ」と思いましたが、私にできることは限られていました。近所の貸し教室で、運動や食事のことでお役に立てるかもしれないと教え始めました。とはいえ、最初の生徒さんはお一人でしたけれど、来てくださったことが本当にありがたくて。そのころから自ずと導かれるように、教室と生徒さんとのご縁が広がっていきました。
—— 講座では、どのようなことを伝えているのでしょうか?
先人の言葉や、資格取得を通じて得た知識、書物から学んだことを私なりに体系化した内容をお伝えしています。薬膳や栄養学を紐解く「心と體を動かす美的食ライフ」や、呼吸法やストレッチで整える「ビューティー・ストレッチ」などがあり、「心地よさ」を大切にしています。母が先天性の股関節脱臼で、幼いころから歩くことの尊さを間近で見てきました。だからこそ、年齢を重ねてもご自身の足で元気に歩けるように。シニアの男性向けに体づくりのクラスにも力を入れています。
私の講座は、呼吸で始まり、呼吸で終わります。呼吸を整えると、学びが体得しやすくなるんです。今は時代そのものがとても混沌としていますよね。だからこそ、心と体の調和が大切だとの想いを込めて、「体」には「體」という旧字を使っています。また、美には「よいこと、よくする」という意味もあります。美しさとは、たんに外見を整えることだけでなく、内側からにじみ出るもの。その人がなにを思い、どう生きているかは自然と伝わります。體に入れるものすべて、言葉や心の持ち方まで、すべてが美につながればと思い、お伝えしています。そう考えるとき、自分の血肉になるものをどう選ぶかは、自分の生き方を選択することと同じことなんです。
最近、「四毒」などの言葉も耳にしますが、私は「これは毒」と決めつけるより、その方の体質に合ったものを選ぶことが大切だと思います。どんなものでも、ときめいたり、幸せを感じたりするなら、それがその方にとってのベスト。正解は人それぞれなので、ご自身で自分らしいやり方を構築していくのがいいと思います。私の役割はそのきっかけづくり。たくさん情報をお渡しするなかで、「自分に合うものをご自由に持って帰ってくださいね」というスタイルなんです。
—— 友麻さんご自身が選択するときに大切にしていることはなんですか?
食べるものでも身につけるものでも、「これには愛がこもっているかな」「清らかな感じがするか」という感覚を大切にしています。知識として調べることもありますが、最後は直感や体感です。実際に触れて、食べてみて、心地いいか、元気になるか。そんな感覚があり、自然と長続きするものが自分にとっていいものだと思いますね。
—— 生徒さんへの想いを聞かせてください。
いつも心にあるのは、教育の父と呼ばれる森信三先生の「人間は一生のうち、逢うべき人には必ず逢える。しかも一瞬早すぎず、一瞬遅すぎない時に」というお言葉です。生徒さんが、自分の人生に私の講座を組み込んでくださっていること。その出会いには至上の喜びを感じます。
みなさんからお悩みを伺うこともありますが、来られたときよりも、帰るときには軽やかに、元気になっていてほしい。よく「今日も元気をもらいました」とおっしゃっていただきますが、それはお互いさまです。私もみなさんから元気をいただいているんです。いまだに「先生」と呼ばれることに実感がわかないですし、私にとってすべての方が「師」であると感じています。
おかげさまで、この活動も約20年。長年通ってくださる方が多いのも、とても嬉しいです。プレマさんもそうですが、「だれかの力になりたい」という強い想いや祈りは、すごく大きなエネルギーになりますよね。目の前のだれかに最善を尽くす、その積み重ねが人を元気にしていくのだと信じています。
だからこそ、私自身も整えていなければ、お伝えする資格はないと思っています。「知行合一」を大切に、日々学んだことと実際におこなうことを一致させるよう心がけています。

講座前に、空間の祓いと浄化のために特注した「友麻鈴」を用いる
ひらめきと
感謝に導かれて
—— 現在は、お母様の介護もされているそうですね。
はい。在宅で介護をしています。母は手術を繰り返し、あるとき、お医者様から「もう施設に」と告げられました。その瞬間、なぜか「私、在宅介護します」と口にしていたんです。当初、母は要介護5で認知機能が著しく低下していました。でも寝たきりになればもっと悪化すると直感し、覚悟を決めたんです。そこから、講座の数を減らして介護との両立を続けています。
思えば、それまでの私は忙しさに追われて母になにもできていませんでした。だからようやく一番大切な人に自分の学びを活かせていると、安堵もあります。食事や生活習慣を見直しながら向き合ううちに、母の状態は好転し、今では冗談を言い合えるまでになりました。もちろん、介護と仕事の両立は大変なこともありますが、母のおかげで認知症予防の知見が深まりました。認知症は、だれにとっても不安の大きいテーマ。今後は私なりに「予防と改善はできる」ということをお伝えできたらと思っています。
—— どんな困難にも、前向きに向き合われていますね。
逆境のたびに鍛えられてきた感覚があります。苦労の値打ちというのか、つらい経験も私にとっては原動力。「こんなお題がきたけど、あなたならどうする?」と問われている気がして。以前、自分ではどうしようもなく苦しかったとき、お世話になっていた易の先生が「あなたは大丈夫よ」と言ってくださったことがありました。状況は全然大丈夫じゃなかったのですが(笑)その一言にすごく救われたんです。人生って、「塞翁が馬」のような側面があります。あのときの苦労があったから今がある。私自身もよほどの出来事がなければ、専業主婦を辞めて講師の道は進まなかったはずです。人生に無駄なことはひとつもないから。天から授かる「お題」には感謝しかないんです。
講座でも、「母に対して感情的になってしまった」などと、包み隠さずお話しします。すると生徒さんが「先生も同じなんですね」と安心される。思い通りにいかないときにこそ、人間力が表れると思うのです。世の中には星の数ほど講座はありますが、私を選んでくださる理由を考えると、メソッド以前に、自分自身を磨いていくことが大切だと感じています。みなさまのお困りごとに応えられるように、もっと引き出しを増やしていきたいですね。
—— プレマの商品も、長年ご愛用くださっているそうですね。
もう大ファンです。家の中には森修焼やアルファウェーブなど、手を伸ばせばプレマさんの商品があるという暮らし。一年中、新林の滝が3台回っていますし(笑)これからの夏には、かえる印の虫除けも大活躍です。ジェラートやカカオレートも本当においしくて、口にした瞬間、温かさや優しさを感じられます。私自身も「私にできることはありませんか」を問いながら活動していますので、プレマさんの「だれかの力になりたい」という想いが重なることが、とても嬉しいです。
—— 最後に、健やかに年齢を重ねるために大切なことを教えてください。
日常の小さな積み重ねです。朝起きて、お日様を浴びて、白湯を飲んで、深呼吸する。そして「今日がこれからの人生で一番若い日だわ」と思ってみる。それだけでも違います。夜は、お風呂で体を洗いながら「今日もありがとう」と労いの言葉をかけます。私はよく、「體は天からの借り物」だとお話しするんです。生きている間に、どれだけ丁寧に扱えるか。人生の最期に「こんなに大切に使わせていただきました。ありがとうございました」と、熨斗をかけてお返しできるくらい、自分の體にも人生にも、感謝しながら生きていけたら幸せなことですよね。
