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中川信男の一問一答

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

【Vol.37】いつも幸せそうですが、どんな方法を使っているんですか?

投稿日:

質問:
小林正観さんや斉藤一人さん、そのほかにも引き寄せの法則に関する本を読んで、毎日「ありがとうございます」「ツイてる」と唱え、将来の夢を書いて壁に貼ったり、持ち歩いたりしています。でも、あまり幸せを感じませんし、状況も変わった感じがしません。中川さんは、Twitterなどでいつも幸せそうですが、どんな方法を使っているんですか。 滋賀県 H様

答え:
 とても面白いことがあるのです。それは、幸せになりたいとか、成功したいとか思ってそのような書物に手を伸ばされる方の場合、あまり効果が出ないようなのです。逆に、すでに幸福感を感じている方の場合、それがさらに加速するようなのです。

 何故だろうかとずっと思ってきたのですが、それは次の一つのたとえ話でご説明できそうです。

 皆さんの中には、何かを信仰されている方、あるいは神仏など一切信じないという方もいらっしゃるでしょう。それはどちらでも構わないのですが、たとえば、ことあるごとに神社やお寺にお参りします、という人がいたとします。この人は、神仏の前で何を祈ると思いますか? 一般的には、神仏の前では願い事をしますよね。では、この人は神前で「すてきな人と出会えますように。」と「もっと経済的に楽になりますように。」と願ったとします。

 この話を聞いて、まったく普通の話に感じますか? それとも、違うと感じるでしょうか。少なくとも私はとても違和感があるのです。私がこのような状況で念じることはただ一つ、「すべてうまくいっています、ありがとうございます。」だけです。不思議なもので、あるときから神仏に意識を向けると、この気持ちが沸き立ってくるようになったのです。

 何故でしょう。祈るときに、「○○になって欲しい」と念じることは、即ち、「今は、○○ではないから不満です。」という表明に他ならないからです。今、我が社には税務署がやってきて、私の身辺から会社の取引先までを徹底的に調査していることでしょう。この状態でどこかにお参りするとしても、私は「税務署を追い返して下さい。」とはお祈りしないと思います。

 たとえ、日々「ありがとうございます。」「ツイてる。」と唱えてみたとしても、その瞬間に奥深いところでは不満を抱えているとすれば、それらの言葉はほんとうに思っていることと、こうしたら良くなりそうと言う希望とが、相反している状態を作り出すのです。これはストレスでしかないでしょう。

 プラス思考とかポジティブシンキングと呼ばれるものが素晴らしいことだという概念は、この10年ほどで定着したようです。特にアメリカでは、ポジティブな印象を常に放出していない限り社会から取り残される、というような自己啓発が書物やセミナーなどで一般化しているようで、余計に内的なストレスを抱えてしまう人が増えていると聞いたこともあります。私は会う人から「いつもエネルギッシュでポジティブですね。」「常にプラス思考ですね。」と言われるのですが、自分ではとても違和感があります。私は元々、できればじっと家のなかに籠もっていたいほうですし、さほどアクティブでもありません。それでも、幸せは常に感じていますし、自分がやりたいことには情熱を感じます。だから、プラス思考やプラス言葉と、幸福感は直接関係がないのではないかと思っているくらいなのです。

 こんなことを言うと、「あの本にはそんなこと書いていなかった。」「著名な○○さんは、そんなこと絶対に言わない。」とお叱りを受けるのは覚悟しています。ただ、私は笑えないときに無理に笑うことも、思ってもいないのに感謝を口にする必要もないと思います。無理に言葉を変えようと思うよりも、この瞬間に起きるいろいろな出来事や、日々自分の内側に起きている感情をただ静かにじっと見つめていると、なんだかじわっと幸せな感じが押し寄せてくるのです。特に、大きな障害に出会ってしまい、「もう自分の力ではどうにもならないので、もうすべてお任せしますから好きなようにしてください。」と心底割り切った時にやってくる、えもいわれぬ幸福感は、たとえようがないほどです。

 このようなテーマについては、私があれこれお教えすることでもないので、このようなご質問にお答えすることはずっと躊躇してきました。でも、私が一つだけお教えできることがあるとすれば、あたりまえに聞こえるかも知れませんが、幸せは外側の状況で決まるものではないということです。たとえ、欲しかった状況がやってきたり、何かが実現したりしたからといって、感じられる幸福感は長続きしないものです。プラスの言葉や夢を具体的に書き出して持ち歩いたり張り出したりしたら、確かにそれは叶うかもしれませんが、それが幸せと直結するものではないのです。だから、そういう流儀には流されないようにしたほうが、もっと気持ちよく生きることができるのではないでしょうか。

 この原稿を書いている途中に、すてきな本と出会いました。おそらく、この種の本では頂点に立つものだと申し上げても差し支えないでしょう。それは『人生を変える一番シンプルな方法 へイル・ドゥオスキン:著』です。非常にビックリしたのですが、この本を監修されている安藤理さんは、弊社の超お得意様でした。何度もお見かけしたお名前と思って調べてみて、やっぱりそうだったのです。安藤さんは日本で唯一、この方法でセッションをされている方ですから、本をお読みになって、必要なら安藤さんのウェブサイトをご覧になることも役立つと思います。

 さらに、Hさんに溢れんばかりの幸せがありますように!

- 中川信男の一問一答 - 2010年9月発刊 Vol.37

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