前回「感情を感じる」を書いているとき、たまたま知った短歌の歌集を読んでいました。詩や俳句や短歌を読んでいる時って、すごく「感じる」の世界にいるんだと気づきました。芸術全般、日本の剣道や茶道などの「~道」なども、「感じる」ことがとても重要だと考えられています。スポーツでも「ゾーン」と言われる状態があります。ボールが止まって見えるとか、相手がスローモーションで見えたという意識の状態です。ビジネスの世界でも「フロー経営」を元ソニー上席役員でAIBOの生みの親である天外伺朗氏も提唱されています。仏教やヨガでは三昧(サマーディ)という瞑想の境地があります。サマーディにはたくさんの段階があるのでゾーンと同一ではありませんが、一部近い境地があります。すべてに共通するのは強い集中がありながらリラックスしているという状態です。
また、意識が過去や未来のことを考えず、今ここにある状態でもあります。過去や未来は「考える」世界、今は「感じる」世界です。
他にも、アロマエッセンスの香りを上手に使う方法があります。自分の好きな香りのエッセンスを常に持ち歩いて、緊張したり、ストレスを感じた時にすぐにその香りを嗅ぎます。香りを感じることで意識を「今」に戻すことができます。繰り返しやっていると、自分にとってのストレス状態がどういう時なのか気づけるようになり、いつでもリラックスできるようになります。
みなさんが既にやっている趣味や、仕事、日常生活にも「感じる」ということをキーワードにして意識してやってみると、違う世界がひらけるかもしれません。育児でも、つねに時間に追われて子どもを叱ってしまいがちですが(ゴメンよ我が子)「かわいい」や「楽しい」という感情を味わうことを意識してみましょう。(自分でも早速やってみようっと!)
冒頭で読んだと言っていた歌集は佐賀出身の笹井宏之さんの第一歌集「ひとさらい」です。26歳で夭折した笹井さんは、重度の身体表現性障がいで、寝たきりだったそうです。作品を読んでみると、彼が感じたことをそのまま感じることができるような感覚になります。意味がわからないものもありますが、わからないからこそ思考が働かず、「感じる」が研ぎ澄まされるのかもしれません。彼の世界を「感じて」みてください。
にぎりしめる手の、ほそい手の、ああ
ひとがすべて子どもであった日の手
ねむらないただ一本の樹となってあなたのワンピースに実を落とす
「足元はやっぱり道で、どこかへと通じている道で、どこですかここ?」
えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力をください
空と陸のつっかい棒を蹴飛ばしてあらゆるひとのこころをゆるす
『歌集ひとさらい』
(笹井宏之著 書肆侃侃房)より
統合医療やまのうち小児科・内科医師
山内 昌樹(やまのうち まさき)
小児科医として勤務していたが、西洋医学の素晴らしさを感じつつ心から望む医療と現実のギャップに悩み、軽度のパニック障害を経験。
YHC矢山クリニックで小児科 を担当し、病気の真の原因を学ぶ。
お母さんの自己肯定感を取り戻すことが家族みんなを笑顔にし世界を平和にすると確信している。
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