前回は、自分の中にいるイキイキとした子どもの声を取り戻そうというお話でした。何がそのイキイキした心を傷つけたのか? うまく説明する言葉が出てこなかったので、僕自身の心の傷をどうやって癒やしたのか、もう一度振り返ってみました。以前バーストラウマについての記事にも書きましたが、生まれてすぐに保育器に入ったことが、自分のバーストラウマになっていることに気づきました。その時に感じていた寂しさが、孤独感を作っていました。そのことに気付いただけで、そこから開放され、強い孤独感を感じることはなくなりました。今回、一連のトラウマについてもう一度考えていたら、ふと気付いたのです。「保育器に入れてもらえてよかった! 愛されていなかったのではなく、愛されていたからこそ治療してもらえて、今ココに生きているんだ!! ラッキー!!」
「本当にやりたいことをイキイキとやって幸せを感じること。その姿を子どもに見せること」が最高の子育て方法だと理屈ではわかっても、なかなか思い通りにできないと感じている方が多いと思います。毎日なんとなくうまく行っていないように感じる。楽しくない。イライラする。このように幸せを感じられなかったり、不安な気分があったりして、すっきりしないことが多いかもしれません。 そのような否定的な感情の出発点は、いつの間にか身につけてしまった「愛されていない」という間違った思い込みかもしれません。そして自分はかわいそうな存在だと感じていて、他人から親切にされたり愛情をかけられても、素直に受けとることができなかったり、ひねくれたりします。そしてそのほとんどは自分の親から愛されていない、嫌われている、認めてもらえない、理解してもらえない、と感じていることが原因であることが多いようです。ただあくまでも、愛されていないと感じているだけで、実際に愛されていないのかどうかは、別問題です。過去の経験から傷ついた心を守ろうとして、そう思ってしまったのです。
今生きているということは、今まで愛をもらっていたはずなのです。そうでないと生きてはいけません。実は愛されていた、ということをもう一度振り返って確認してみましょう。子どもの頃に受けた心の傷は、大人たちの心無い言葉や態度が原因の場合が多いです。ただ、その言葉や態度も、解釈を変えることによって自分にとってマイナスではなくプラスの意味にできるかもしれません。また、単に親が未熟だったというだけなのかもしれません。しかし、自分の解釈が変わると、世界が変わります。本当の自分を取り戻した時、毎日が輝きだします。他人(親)の視線も気にならなくなります。人のことを攻撃する必要がなくなります。そして本当にやりたいことに向かう勇気を持つことができます。
山内昌樹
医師 山内昌樹氏 平成19年まで一般小児科医として診療を行うかたわら、統合医療を志しYHC矢山クリニックで小児科を担当。平成22年12月佐賀市内に『統合医療やまのうち小児科・内科』を開院。 医師となってから、重病の患者さんが劇的な回復をすることや子どもの生命力の素晴らしさなどを経験するも、個人差を考慮しない画一的な治療、ステロイド薬や免疫抑制剤の副作用など、西洋医学の限界を感じる。 漢方薬や代替療法と西洋医学を融合して治療を行うYHC矢山クリニックで小児科を担当、病気の真の原因を学び、実際の診療で効果が見られることを経験。 |