【稲刈りに思う】
今年も稲刈りがスタートしました。
今年は梅雨明けが遅く、お米の出来が心配でしたが、8月の中旬から好天が続き、おかげさまで今年もおいしいお米になりそうです。ただ、長雨の後、猛暑、9月に入って急に朝夕が冷え込む秋の気配ということで、稲の生育がいつもと少し違い、丈が伸びすぎて倒れる株が続出。結果として、少し早目の稲刈りになりました。
今年もきちんとお米ができたことに心から感謝したいと思います。
私は稲を手で刈って、はざにかけて干していますが、他の人たちはコンバインという機械を使って、刈り取り、脱穀を一度にやってしまいます。その後、脱穀したお米を乾燥機にかけて稲刈りは終了です。1反(1000?)の稲刈りは2時間程度。あっという間に終わってしまいます。
私のほうは1反の稲刈りをするのに約3日かかります。今、7反の田んぼを借りているので、約1ヶ月(雨で作業できない日もあるので)かけて稲刈りをします。
一株一株手で刈って、藁で6株ぐらいを一まとめにして縛っていきます。朝の9時ぐらいまでは夜露が稲をぬらしているので、それまでにはざ木や藁を運んで稲刈りの準備をし、9時からスタート。今年は好天が続いていますが、雨が降ったりすると予定が狂って大変です。
時々自分でもなんでこんな面倒なことをしているんだろうと不思議に感じることがあります。コンバインを借りられないわけではないし、はざにかけることでおいしいお米ができる(干しているうちに茎の養分がお米に吸収されて熟成が進むのとお日様の日でやさしく乾燥させることで適度な水分量になる)ということにこだわれば、バインダーという機械を使えば刈り取って縛るところまで自動的にやってくれます。
ではなぜ手作業にこだわるのか?
自分でも答えはわかりませんが、自分の身体を使って生きるという感覚を取り戻したいのかもしれません。毎年、少しずつですが刈り取り、縛り、はざかけの作業がスピードアップしています。段取りも良くなり、はざが倒れたり、はざ木の位置が低すぎてイノシシに食べられたりする失敗も減ってきています。
一日稲刈りをするとクタクタに疲れますが、その日刈り取ったあとを見ると心の底から満足感が湧いてきます。
一年目は日暮れまでに作業が終わらず月明かりで稲をはざにかけていたこともいい思い出です。
自分の身体を使って生きていくこと。その当たり前の感覚を取り戻すことがひ弱になったといわれる私たち日本人にとって一番大切なことかもしれません。