この記事を書いている現在、川崎市で起きた中1少年殺害事件の報道が、毎日繰り返されています。被害にあった少年のご家族の悲しみは、心中を察するに余りあります。また、少年本人も悔しさでいっぱいだったのではないかと想像すると、やりきれない思いになります。一方、加害少年の罪は厳しく罰されなければならないと思いますが、狂った歯車の、どこか一箇所でも正すことができていたら、このような事件にはならなかったのではないかと悔やまれます。
その歯車の最初の大きな一歩は、やはりお母さんの愛情ではないかと思っています。生まれてきて最初に出会う他人である母親(母親がいない場合は、母親の代わりとなる大人)の愛情や働きかけが、その後の人間関係の基礎になっていきます。その大切さを一人でも多くの方に知っていただきたいと思っています。もし世界中の母親、父親がこのことを知って、子どもの自己肯定感を高めることができたら、この世から犯罪は激減し、戦争はなくなるのではないかと、妄想しています。(半分本気です(^-^*))今回からは、現在僕が考えているストレスの本当の原因と効果的な消し方をまとめてみたいと思います。
人生で起きる問題は、実はそのできごとを問題だと捉える人の「考え方」の問題だとも言えます。そしてその「考え方」を身につけてしまうのは、「セパレーション感覚」が大きな原因になっています。「セパレーション感覚」とは、自分が母親(自然、宇宙、全体)から切り離されているという孤独感や疎外感を指します。
生まれてくる前は、母親と一体でまだ自分という意識がほとんどありません。何の不足もなく、完全な存在でした。この世に誕生した瞬間、思い通りにならない、痛みや不快感を感じますが、自分ではどうすることもできません。ここから「自」と「他」の存在を認識するようになり、母親という完全なものから分離されたことを強く感じます。その時の記憶があまりにも強いと「バース・トラウマ」としてその後の悩みや問題の原型となります。
最近ベストセラーになった書籍「嫌われる勇気」の元になったアドラー心理学のアルフレッド・アドラーさんも「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と仰っています。人間関係の基本となる母親とのセパレーション感覚が全ての悩みの原型であるため、アドラーさんの言葉を「人間の悩みは、すべてセパレーション感覚が原因である」と言い換える事もできるでしょう。
生まれた後の子どもは、セパレーション感覚があるため、自己肯定感が低下しています。自己肯定感とは「そのままの自分でいいんだ、大丈夫なんだ」「その存在だけで価値があるんだ」という感覚のことです。そのため、子どもは自己肯定感を高めるために、母親(母なるもの)の愛情を100%自分に向けてほしいと思っています。
山内昌樹
医師 山内昌樹氏 平成19年まで一般小児科医として診療を行うかたわら、統合医療を志しYHC矢山クリニックで小児科を担当。平成22年12月佐賀市内に『統合医療やまのうち小児科・内科』を開院。 医師となってから、重病の患者さんが劇的な回復をすることや子どもの生命力の素晴らしさなどを経験するも、個人差を考慮しない画一的な治療、ステロイド薬や免疫抑制剤の副作用など、西洋医学の限界を感じる。 漢方薬や代替療法と西洋医学を融合して治療を行うYHC矢山クリニックで小児科を担当、病気の真の原因を学び、実際の診療で効果が見られることを経験。 |