治すのではなく寄り添う愛の在り方

常々気になっている世間の解釈と発言のなかに、発達障害を持つ人に対する〝治す〟という表現があります。もちろん、生きづらさを感じている彼らをなんとかしてあげたいという優しさであることも理解できますが、それでも〝治してあげたい〟という視点には、なにか違和感と、ちょっとした傲慢さを感じるのです。

発達障害に対する理解不足も一つの原因であるとは思います。決して病ではなく、脳のメカニズムの違いですから、それを個性と捉え、即した環境作りや、成長に合わせた対応と気長なアプローチ、深い愛と理解を持って適切な指導を施し、支援し続ける姿勢が必要です。放置してなにもしないということではありません。治すという発想から、寄り添い支援するという柔軟な姿勢が大切だと感じるのです。

彼らがそれを選んで生まれてきた魂の目的や個性そのものは、本来尊重されるべきものであり、矯正されるようなものではないはずです。深層に隠れた魂からのメッセージに耳を傾けなければ、良くなるものも良くなりません。特にご家族の理解はその子の人生に多大なる影響を与えます。

何事もそうですが、目に見える現実に顕われていることは、必ず目的と意図があります。家族関係、仕事の状況、心身の状態……。表層に顕われた現象にばかり心が奪われていては、深層の意図を見抜くことはできません。

発達障害のお子さんに関わるご家族や教育関係者、そしてお医者様に至るまで、支援するすべての人に、「なぜこの子はこの個性を持って生まれてきたのか？」「自分たちにどんなメッセージを届けるために目の前にいるのか？」という命の尊厳を慈しむ視点で、謙虚にフェアな視点で、存在を丸ごと受け入れていただきたいのです。

そうすることで、彼らは与えられた人生を生き抜く絶対的な力を得られます。その力の源泉にある「愛と信頼」が、大地に張り巡らされた根っ子に栄養を与え、軸となる幹を太くし、枝葉は太陽に向かってぐんぐんと両手を広げて伸びていくことができるのです。

超意識の視点で相手を見る

息子や発達障害の子ども達と接するといつも感じるのです。彼らはそこに居るだけで人を癒し、歪んだ心を清めてくれるなーと。私たちに、人として最も大切なことを教えるために地球に舞い降りてきた勇敢な天使なのです。

このコラムのテーマが「魂のコミュニケーション」であるように、私は常に超意識の領域から平等な視点で相手を見ています。優劣をつけることなく、各々の存在は互いのために刺激し、学びあい、魂を磨きながら成長していけるのです。一見自分にとって不都合だと思えるような相手こそが、自分自身のまだ知らぬ内に隠れた神聖なる自己を引き出してくれる相手であったり、エゴを手放していける研磨剤のようなありがたい存在でだったり。真っ直ぐで、正直で、汚れのない純粋な彼らを前にして、治す、正す、矯正しなければならないのは、むしろ私たちの方なのではないかと思うことばかりです。

生かされている目的が、進化と成長のプロセスにあることを私たちは忘れがちです。人は自分でも気づかぬうちにムクムクと顔を出すエゴにより、自分にとって不都合な相手を〝変えたい〟と思ってしまうもの。相手の考え方や価値観、自分には理解できない個性をねじ伏せて、自分にとって都合のいい人間になってもらいたいがために、相手に従わせようとしてしまうのです。

息子が発達障害であることを知ったときから、私はよくも悪くも〝諦める〟という視点に立てた気がします。普通の人ができることが当たり前にはできないのです。私の大きなエゴを削ぎ落とす、真の母になるための無条件と無償の愛の学びが始まったのです。