1月初旬に長野県・八ヶ岳へ引っ越してきました。それから3日が経ち、いま、原村・自然文化園にある「カフェK」でこの原稿を書いています。八ヶ岳では、すでにたくさんの人と出会っています。初日の晩は、ここで古いドキュメンタリー映画の上映会がありました。上映作品は、『アイヌの結婚式』『久高島イザイホー』の二本立て。
私がこの土地に引っ越しを決めたのは、縄文の遺跡が多く残るこの土地でそのスピリットを感じながら、本来の人間らしい生活を取り戻したい! 古代の人間がどんな生活をしていたのかを学び、体験しながら生きていきたい! という動物的本能ともとれる欲求が、美しい湧き水の如く溢れ出てきたからです。上映された二本の映画は、それにシンクロするものでした。
二本の映画との縁
不思議なシンクロは続きます。実は、『アイヌの結婚式』に登場した新郎と、昨年11月に講演会で北海道を訪れた際にお会いしていたのです。講演翌日、わずかにできた時間に平取町二風谷アイヌ文化博物館へ車を飛ばしたのですが、そこで待ち構えてくださっていた方が、映画に登場した新郎で、現在はアイヌの案内人である、貝沢さんだったのです。映画は昭和43年製作のものでしたから、約50年後の貝沢さんと私はお会いしたわけです。
その日は、貝沢さんの営むアイヌ木彫りの工房まで案内していただき、アイヌの女性が使う小刀「マキリ」や、可愛らしい聖霊「コロボックリ」の木彫りの人形を見せていただき、私は記念にコロボックリを購入しました。八ヶ岳に移住したら新居に飾ろうと思い、まずは横浜の自宅の神棚に置いて寝たその晩、たくさんのアイヌのご先祖たちが見えないスピリットとしてわが家に来てくださいました。なにかを託されたような、なんともいえない気持ちになりましたが、現代人が失ってしまった、人間としての大切な気高いスピリットを取り戻すべく、その情熱をもつものになにかを伝えたかったのかもしれません。「アイヌ」とは、「人間」という意味です。昔の人は、人間であることに誇りをもっていたのです。今の私たちはどうでしょう?
もう一本の映画『久高島イザイホー』にもご縁があります。それは、横浜に仕事場であるサロンをオープンした、9年ほど前のことです。沖縄の離島、「神の島」と呼ばれる久高島を訪れ、神人(かみんちゅ)という、神の御神託を伝える霊能力者に、通常、観光客は訪れることができないような霊場まで案内していただいたのです。
海岸沿いを歩いていると、神人が唐突にこう言いました。「あの海にポツリと浮かぶ岩が、今あなたになにかを伝えようとしているので、耳を澄まして」。私は言われるがまま、岩を見つめながら耳を澄ましました。すると、銀色の光の紐のようなラインが、その岩から私に向かって伸びてくるのが見えました。そして私はその銀のラインとまっすぐにつながれたのです。その瞬間、つながれたのは私自身でありながら、新たにオープンする横浜のサロンであることが理解できました。このサロンは、主に母子をサポートする活動の場として考えていたので、「ここを訪れる人が皆、魂の中心軸に戻り、創造的に美しく豊かに生きていくためのお手伝いがしたい」という思いが聞き届けられ、大いなる母性の島でもある、久高島の聖母スピリットの後ろ盾をいただいたような気持ちになりました。
その後、横浜に戻り、サロンで自分なりの受け取りの儀式をおこない、庭の掃除をしていたら、突然オリーブの木の根元から大きなヤモリが飛び出してきました。「キャー!!」とひっくり返りそうになりましたが、そのヤモリの背中の柄が、久高島で見たヤモリとまったく同じだったのです。横浜のサロンでヤモリを見たのはそのとききりです。神様はいつもわかりやすくサインをくださいます。