小さいころから慢性的な便秘に悩んでいます。さまざまな方法を試しましたが快腸とはいえません。なにに気をつければいいのでしょうか?(ナマ大谷翔平を観たい50代主婦)
答える人 プレマ株式会社 お客様コンサルティングセクション 岸江 治次
身体からの大事なメッセージを見逃さないで
便秘とは、「便がスムーズに出ず、腸内にとどまってしまう状態」です。特に女性に多く、日々のストレスやホルモンバランスの乱れ、筋力の低下が原因になることもあります。便秘が続くと、悪玉菌が増えやすくなり、ガスがたまってお腹のハリや不快感、さらには肌荒れや集中力の低下が生じることがあります。逆に便がゆるく頻繁に出る下痢は、便秘と同様に身体には好ましくない状態です。毎日のお通じは、身体にとって不要なものを出すための大切な働き。滞ると、さまざまな不調の原因になります。「最近、なんだかすっきりしないな……」そんなとき、ふと気づくのがお通じのことかもしれません。
昔から便のことを「お便り」と呼びますが、これは非常に的を射た表現で、便はまさに身体からの重要なメッセージといえます。便の色や形、においなどから、今の自身の体調や食生活、腸内環境の状態などがある程度読み取れるといわれています。便を通して自身の身体の声に耳を傾けてみることはとても大切なんですね。
では、理想的な便とはどういうものでしょうか。よくいわれるのは、バナナのような形と適度な柔らかさで、1日1~2本程度が無理なく排泄されることです。便秘が続くと不安を感じるかもしれませんが、一時的な便秘であれば過度に心配する必要はありません。もちろん、毎日決まった時間に排便があるのが理想的ですが、生活リズムや環境の変化によって一時的に便秘になることはよくあります。例えば、旅行中や多忙な時期、食事や睡眠のリズムが乱れた場合などが挙げられます。しかし、1週間以上排便がまったくない状態が続く場合は、なんらかの病気が潜んでいる可能性があるため、注意が必要です。
便の主な成分は、食べ物の残りかすの他に、水分、腸内細菌(とその死骸)、腸の粘膜細胞などです。特に腸内には200兆個以上もの腸内細菌が存在しており、そのバランスが崩れると便の質が悪化する可能性があります。腸が健康であることは、健やかな便通のために非常に重要です。暴飲暴食、動物性食品の過剰摂取、ストレスなどは腸内環境を悪化させる主な要因となります。
便秘の改善には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく摂ることが大切です。和食を基本とし、ごぼうやブロッコリー、豆類、海藻類、キノコ類などを積極的に摂り入れましょう。また、白米を玄米に替えるのも、手軽で効果的な方法の一つです。さらに、適度な運動や質の高い睡眠、ストレスを溜めない生活も大切です。自律神経やホルモンのバランスが整うことで、腸の働きも改善されます。
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、心の健康とも深く関係しています。実際、脳から腸への指令よりも、腸から脳へ送られる情報の方が多いという研究結果もあります。「腸脳相関」という言葉も近年知られるようになってきましたが、腸内環境が整うことで、気分が安定したり、前向きな気持ちになったりすることがあります。まさに「腸さえよければ、すべて快調」ですね。
便は身体からのサイン。日々の便の様子を少し意識するだけでも、ご自身の身体を大切に思えるようになるでしょう。「今日もお便り、届いたかな?」と、便を通して、自分と向き合う時間をつくってみてはいかがでしょうか。