てんかんや末期のがんにCBDがいいという話を聞きました。CBDとはどういったものでしょうか。(健康で長生きしたい40代サラリーマン)
答える人 プレマ株式会社 お客様コンサルティングセクション 岸江 治次
生体恒常性をサポートしてくれる植物の神秘
CBDとはカンナビジオール(cannabidiol)の略称で、美容や健康にいいと注目されています。大麻やヘンプなどの植物(カンナビス・サティバ)の持つ生理活性物質をカンナビノイドと呼び、CBDはそのひとつです。
大麻は麻科の植物の一種で、1万年ほど前から世界中で栽培され、食べるだけでなく、紙や船の帆の原料として広く利用されてきました。日本でも地名や人名に麻という字が使われ、身近な植物として長い歴史があります。しかし、第二次世界大戦後に作られた「大麻取締法」により、麻の栽培が制限され、大麻などの麻薬は排除されました。これは1948年のこと。麻と日本人の長い歴史を考えると、ほんの数十年前の出来事であることを理解していただければと思います。
麻が健康に良いのは昔から知られており、今でも漢方では麻の実が使われています。産業革命以降、紙や服、船帆といった麻製品の需要は減りましたが、科学の進歩により麻の持つ生理活性物質の有用性がわかってきました。最近の動向としては、大麻の有用成分を医療的に使う動きが出ており、日本に大麻取締法を作らせたアメリカではすでに大麻の合法化が進んでいます。賛否両論はありますが、その影響を受け日本も条件付きで合法化していくことになっています。
1960年ごろから大麻から特定の物質を抽出する技術ができ、カンナビノイドの一種であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)という成分が酩酊感を引き起こすことがわかりました。THCには中毒性があり、危険性も示唆されています。それに比べてCBDは中毒性がなく、健康に役立つことがわかっています。
近年、研究が進み、「エンドカンナビノイドシステム」という体の仕組みが解明されました。「エンド」というのは「体内で産生される」という意味で、人間は体内でカンナビノイドを産生できます。これを内因性カンナビノイドといって、人間が健康を保つための重要な役割を担うホメオスタシス(生体恒常性)にも影響しています。
ストレスなどによって、体内での内因性カンナビノイドの産生が追いつかなくなると、ホメオスタシスに異常をきたし、病気や体調不良が起こります。そのようなときにCBDを摂取すると、内因性カンナビノイドと同様の働きをして細胞の受容体に作用し、ホメオスタシスを保つ助けとなります。さらに研究が進み、抗がんや抗けいれん、抗不安、抗炎症、睡眠改善、ストレス緩和、抗酸化、アルコールやたばこなどの依存の抑制など、医療に役立つ効能効果がどんどんわかってきています。
CBDは大麻の実から抽出した油溶性のものが主でしたが、最近は油溶性よりも吸収しやすい水溶性のCBDもあります。経皮吸収ができるため、クリームなどもあります。しかし、これだけ話題になると質の悪いものも出回っているので、よく調べて確かなものを選ぶとよいでしょう。CBDは昔から人間が活用してきた麻科の植物のいい部分だけを抽出して人に役立つ形にしたものです。うまく利用するとお悩みの一助になると思いますので、ぜひ活用してみてください。