愛猫のマル吉が虹の橋を渡って2年。もう猫を飼うことはないと思っていたが、猫が恋しくていつの間にか保護猫活動のユーチューブを見るようになっていた。そのユーチューブでは、傷ついた野良猫を捕獲し、最初は心を開いていなかった猫が、世話をしていくうちに元気になり、人に懐いて幸せな生活を送っていく姿があった。それを見ていて、もし私が助けなければいけない猫が目の前に現れたら、そのときどうするだろうか? そんな空想を日々するようになっていた。
ある日、会社のスタッフから、野良猫が会社のマンションの一室にある倉庫を荒らしていると聞いた。そして、たまたまそのマンションに入っていく小さなキジ白猫を見つけた。私がついて行くと、マンションの自転車置き場に隠れたその猫は、右目から一筋の涙を流していた。私は驚いて商店街の事務所の人に相談すると、この猫は保護しないと生きていけないだろうと言った。なんと空想していた通りに、助けないといけない猫が目の前に現れたのだ!
そして、その猫のことが心配で夜に猫を探していたら、商店街で保護猫活動をしている方が声をかけてくれて、毎晩一緒に探してくれることになった。これは運命だと思って、その猫を捕獲できたら飼うと決めた。そこで名前をつけようと思って、新海誠監督の映画『すずめの戸締り』に登場する猫と同じ「ダイジン」にした。ダイジンは警戒心が強く、毎晩餌を食べに来るのにまったく懐かないし、映画と同じでなかなか捕まえられなかった。それから一ヶ月が経ったころ、ダイジンはサクラ耳の黒猫と餌を食べに来るようになり、いつも2匹で行動するようになった。映画でも黒猫が登場するのでとても驚いた。そして、運命的なものを感じたので、2匹とも飼おうと腹を括った。黒猫の名前は昭和の名作アニメ『バビル二世』の黒ヒョウから「ロデム」に決めた。ロデムは懐いてきたので簡単に捕獲できた。ロデムは家族を探していたのだと思った。私の家にもすぐに慣れ、私の横で寝るようになった。それから一か月後、捕まえられなかったダイジンが奇跡的に自分から捕獲器の中に入ってきた。
現在、細かったロデムはポッチャリになり、私にべったりで、ダイジンはやんちゃだが甘えん坊になった。捕獲に協力してくれた方々、捕獲するまで見守ってくださった方々に、この場を借りて心から御礼を言いたいと思う。そしてロデムとダイジン、私の家族になってくれてありがとう!
プレマルシェ・オーガニクス
小泉 由紀(こいずみ ゆき)
推定3歳の保護猫と1歳の野良猫を悪戦苦闘の末、2ヶ月かかって捕獲し、一緒に暮らしはじめて約1年。横で安心しきって寝ている2匹の寝顔を見ているだけで、とても豊かでしあわせな気持ちになります。