日々、健康的な生活を意識していますが、よく風邪をひきます。風邪をひきやすい人、そうでない人の違いはなんですか?(50代・阪神タイガースファン)
答える人 プレマ株式会社 お客様コンサルティングセクション 岸江 治次
受け身に捉えず、体を見直す機会にしよう
だれもが一度は経験する身近な風邪ですが、古くから「風邪は万病の元」といわれるように、さまざまな病の引き金になることもあります。興味深いことに、同じ環境にいても、風邪をひく人とそうでない人がいます。たとえば、満員電車内で風邪をひいた人が咳やくしゃみをしても、乗客全員が感染するわけではありません。
この違いを生むのは「体質」です。ウイルスに好まれやすい、つまり風邪をひきやすい状態かどうか。ここで鍵となるのが免疫力。体内に侵入したウイルスや細菌を撃退する力であり、体質だけでなく、日々の生活習慣によって大きく左右されます。日々の生活のなかで自身の体を整え、免疫力を高めていけば風邪をひきにくい体をつくることができます。そのポイントは5つあります。
1つ目は「冷え」。体温が1度下がると、免疫細胞の働きが鈍くなり、ウイルスへの防御力が落ちてしまいます。日頃から体を冷やさないように意識し、寒い日はマフラーを持参するなど、特にウイルスが最初に侵入するルートである気道を温めるケアは効果的です。
2つ目は「睡眠」。質の高い睡眠は、免疫力を高めるための重要な要素です。睡眠中は代謝が高まり、体内の毒素を排出し、細胞を修復することで体を正常に保とうとします。そのため、慢性的な睡眠不足は免疫力の低下を招きます。最低でも6時間、できれば7時間前後の十分な睡眠を心がけましょう。
3つ目は「運動」。現代社会は移動手段が発達し、運動不足になりがちです。だからこそ、意識的に歩く習慣を取り入れましょう。ただ歩くだけでなく、軽く汗ばむ程度のウォーキングが理想的です。汗をかくことで汗腺が活性化し、体温調節機能が向上し、免疫力アップにもつながります。汗をかく機能が衰えると暑さに弱くなり、体調を崩しやすくなります。冬場の汗冷えはもちろん、夏のクーラーによる発汗機会の減少も、自然な体温調整を乱し、夏風邪のリスクを高めるため気をつけましょう。
4つ目は「日光」。免疫力を高める働きをもつビタミンDは、適度な日光浴で自然に補うことができます。特に日照時間の短い北欧では、感染症予防の研究が進んでおり、ビタミンDが風邪をはじめとする感染症への抵抗力を高めることが明らかになっています。昼休みに少し外を歩いたり、ベランダで日差しを浴びたり、週末は自然のなかで過ごしたりするなど意識して日光を浴びましょう。
5つ目は「食事」。よくいわれる「風邪にはビタミンC」も、体質によって効果はさまざま。「これを食べれば大丈夫」という万能食はないのです。風邪をひきやすいと感じる人は、必要な栄養素が不足している可能性があります。朝の体調や食後の感覚に目を向け、自分に足りない栄養素を見極めることが大切です。基本は、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素をバランスよく摂ること。体の声に耳を傾け食事を整えていくことが、風邪に負けない体づくりへの近道となります。
このように、基本的な生活習慣を丁寧に積み重ねることで、体質は少しずつ変化していきます。風邪を「たまたまひくもの」と受け身に捉えるのではなく、「体を見直す良い機会」と捉え、より健やかな毎日への第一歩にしていきましょう。