5月はほとんど日本に不在でした。上旬は長男の大学の卒論映画上映会でロサンゼルスへ。帰国後1週間も経たないうちに、次は仕事で、イスラエル、イタリア、スペイン、フランスを旅してきました。その間、留学先から夏休みで一時帰国していた次男は、西日本を旅していました。途中、日帰りのサプライズで、名古屋のおばあちゃん宅を友達と一緒に訪れたり……突然の来訪に感激したおばあちゃんから大奮発のお小遣いをもらい、上機嫌で私に報告してくれました。私が帰国したころを見計らって、母からも興奮冷めやらぬ声で、感激の電話がありました。
「聞いた？　もうびっくりしたわよ、突然顔出すんだもの。それが不思議なのよ。その日、私本当は出掛ける用事があったのに、朝になって行くのをやめたの。それに前の日に、一人暮らしでは食べきれないほどの食料を買い込んで、珍しく冷蔵庫をいっぱいにしておいたのよ。イチゴやお菓子やお肉やお野菜や。久しぶりにおかずもたくさん作っちゃって。まるで待っていたかのように。私、潜在意識ではアキトが来るの、わかっていたのかしらね～」
アポなし来訪でも、魂はちゃんと無意識層で打ち合わせ済みだったのでしょうね。ワクワクはシンクロニシティーを起こすトリガーになります。

本心で生きるからこその調和

次男は昔からよく周囲の人たちを驚かせるような、ちょっとびっくり嬉しい行動を起こす子でした。後先のことを心配し過ぎず、期待せず、今ここに湧き起こったインスピレーションに従って行動できる彼は、つねに冒険心に満ちています。その行動を人がどう思うかなど、彼はまったく気にしません。

そんな彼のエピソードのなかで、これこそ本心で生きるときに起こる、宇宙調和マジックだ！　と感じる出来事がありました。

次男が留学前、専門学校へ通っているときのことです。私は仕事が重なりなかなか休みも取れず、それでいて家事も山積みで疲れ果てていました。それまで子育てをしていてあまり考えたこともなかったのですが、このときばかりは限界で、ふと心の中でつぶやいたのです。
「あ～ひとりになりたい」
すると同じタイミングで、次男が大きなスーツケースを自室から玄関へと運びながら、こう言いました。
「僕ちょっと、家でていく」
「えええ！！　家でていくってどこ行くのよ！！」
「パパんち。パパが今海外出張中で、植木の水やりとポストの郵便物取っておくのお願いされたから。それに僕は今ひとりで静かに集中して、アイエルツ（英語検定試験）の勉強をしたいんだよ」
私は内心ほっとしました。
「どーぞどーぞ、行ってらっしゃい。で、あなたはいつ帰ってくるの？」
「わかんない」
そう言って、まるで海外旅行にでも出かけるようなスーツケースを引きずりながら家を出ていきました。そして3日後、また突然、次男はスッキリとした顔で帰ってきました。
「ただいま～！」
「あ～びっくりした！　お帰り。一人暮らしの気分はどうだった？」
「最高だよ！　楽しかった。集中して勉強できた」
3日経って私も疲れ果てた状態から抜け出せて、一人静寂を味わい尽くし、彼が恋しくなってきたところでした。

本心をごまかさず、押さえつけず、行動に移せたとき、これほどまでに見事なシンクロが起こるものなのです。これぞ宇宙の法則。自分の欲求に蓋をして、相手に気を使って従っていたら、エネルギーは次第に枯渇して不平不満に発展していたことでしょう。内なる声に耳を澄まし忠実であること。互いに依存のない自律した関係性のなかで生まれる調和というものを、このとき、彼の魂に教えられた気がしました。