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オルタナティブファーム宮古

自然の恵みいっぱいの宮古島から農業や商品開発するなかで感じたこと気づいたこと

オルタナティブ
ファーム宮古 代表

松本 克也 (まつもと かつや)

自動車メーカーなど14 年の研究職を離れ、2012 年5月に家族4人で宮古島に移住。約1万平米の畑で主に有機サトウキビを栽培し、黒糖蜜やキビ砂糖などの加工品を製造。
畑で黒糖作りが体験できるプログラムも準備中。その他、有機バナナの栽培、未完熟マンゴーの発酵飲料の製造に携わる。

黒糖の科学

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黒糖作りの体験をご案内するなかで、お客様の関心が高い話をご紹介します。

黒糖作りはいたってシンプルで、サトウキビのジュースを搾り、焚きつめ、撹拌冷却して型に流し固めたら出来上がり。一方で、品質の確保は実はナイーブな問題です。

黒糖の品質に影響する項目は三つ。一つ目は、サトウキビの生育履歴です。どんな土壌で育ったか、潮風に当たったかなどによって、そもそもの原料のミネラルバランスが異なり、だから島ごとに黒糖の味が違ってきます。

二つ目は、いかにサトウキビの鮮度を保って加工できたかです。これは黒糖の色を見ると見当がつきます。黄金色といわれる薄めの黒糖は、サトウキビの鮮度・糖度が高く、口どけ・香りの良い上質な黒糖が多いです。一方で、どす黒いザ・黒糖風のものは、サトウキビの鮮度・糖度が低く、えぐみ・苦味の強い黒糖が多いです。

三つ目は、焚き上げの技術で、三つの要点があります。第一に、焚き上げ途中の丁寧な灰汁取り。あっさり後味の良い黒糖に仕上がるか、えぐみ・苦味が残るかの分岐点です。第二に、焚き上げ完了時の見極め。水分を微妙に残してしっとり系の黒糖に仕上げるか、水分を飛ばしきって堅く締まった黒糖に仕上げるかによって、食味は大きく異なります。第三に、結晶化工程での撹拌具合。しっかり撹拌して蜜と結晶が均質に混ざり合った状態で固めれば口どけの良い結晶質の黒糖に、撹拌をせずに放置冷却したらガラス質の飴に、その中間がキャラメル質になって固まります。

シンプルだからこそ、ちょっとした違いが大きな品質差につながる極みの世界です。ぜひリアル体験を宮古島で!

- オルタナティブファーム宮古 - 2020年4月発刊 vol.151

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