娘が7年間続けてきた競技かるたをやめたいと言いだした。
率直に「もったいない」と思った。ひいき目に見てもすごくがんばっているとは言えないけれど、細々とでも続けてきたんだし、無理のない範囲で続ければいいのに。そう伝えたけれど、娘の決意は固かった。結局、受験を機にということで、来年夏の高校選手権でやめることになった。
娘が競技かるたをやりたいと言い出したとき、すごくワクワクしたのを覚えている。私は子どものころから百人一首や源氏物語の世界が好きだったからだ。娘は純粋に競技として勝負の世界に飛び込みたがったのだけれど、私は迷うことなく背中を押した。小学生のころは毎週末練習会や大会に付き添い、練習ですら負けて悔し涙する娘を慰め、手に汗を握って応援した。コンマ何秒の世界で戦う娘はいつもかっこよくて、勝っても負けても私の誇りだった。
小学校を卒業した春、コロナ禍で大会も練習会もなくなってしまった。このころから娘のモチベーションが下がる一方だということに気づいてはいたが、私は見て見ぬふりをした。娘がかるたを取る姿を見るのが本当に楽しくて、夢中だったからだ。コロナ禍が明け、練習会が再開されたとき、私は狂喜乱舞したけれど、娘はそうでもなかった。あのころ既に娘の熱意の炎は消えかけていたのだろう。でも、私はかっこいい娘の姿をもっと見ていたかった。だから、無理やり背中を押し続けた。
娘にやめたい理由を聞いたとき、モチベーションが下がり続けるなかでここまで続けてきたのは、熱意も少しはあったけれど、ほとんどが私への思いやりだったということを知った。貴重な休日、ほかにもっとやりたいことができたのに、私が楽しそうにしているから我慢し続けてくれていたのだ。そのことに気づいたとき、もはや「もっと続けたら」などとは口が裂けても言えなくなった。今までごめんね。でも、楽しい時間をありがとう。今は感謝の気持ちしかない。
こうして娘の競技かるた人生は幕を下ろそうとしている。あの楽しかった時間が終わることにようやく少しずつ向き合えるようになってきた。でもやはり寂しい。「数年後に熱意が戻ったらまた再開してくれるかも」という一縷の望みに、私はまだ縋っている。
でも、先日いいことを思いついた。あの世界との別れがそんなに惜しいのなら、私がやればいいじゃないか。何歳からでも始められる競技なのだから。人生はまだまだこれからだ!
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上ヶ谷 友理(うえがたに ゆり)
2014年入社。お客様にプレマで取り扱う商品の魅力を伝えるべく、商品担当&メルマガ編集長として日々奔走中。最近のマイブームは美容。子どもに手がかからなくなったので、これからは自分磨きを楽しみたい!