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のんびりいこう等身大の敏感肌ケア

【Vol.57】“マニアック”な温泉

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 ゆの里まで、頻繁に通っていましたがアトピーの症状は改善せず、すこしずつ悪化していきました。ゆの里のお湯に浸かり、一時的には快復するものの翌々日には元通り、ということが続き温泉治療の限界を感じていました。

 プレマスタッフのお子さんが通う、漢方を取り入れた皮膚科にも通いはじめ、一旦はきれいになりましたが、2週間後にはまた元通り。かえって悪化し、関節や首などに限定していた炎症部分が、上半身全体に広がりだしていました。

 広範囲に炎症が起きているのも初めてでしたが、これよりもっと辛かったのが〝じゅくじゅく〞アトピーに変化していったことでした。掻きむしった部分がじゅくじゅくになり、浸出液がにじみだし衣類は汚れ、乾いた皮膚がボロボロ落ち、情けない思いでした。

 切羽つまった状態でしたから、食に限らず、生活全般をかなりストイックに制限して努力していたつもりでしたが、残念ながらあまり変化はありませんでした。なんとかしなければ、と思うけれど何をしても空回り・・という日々でした。徐々にアトピーの治療だけでなく、生活全般で何かをしようと考える余裕がなくなっていきました。

 黙って、ゆの里までの道を車で往復してくれた主人でしたが見るに見かねたのでしょう。

 温泉好きの主人は、アトピーに効果があるという温泉を自分で調べていました。藤の森不動温泉「だるま湯」という温泉に誘われたのは、この頃でした。

 正直いうと、期待する気持ちがなかった訳ではありませんが温泉だけではどうにもならないという諦めの方が強く運転手が行くというなら行こうか、ぐらいの気持ちでした。

 結果は―うれしい大誤算でした。

 「だるま湯」はゆの里と同じ和歌山県の温泉で、高野山を源流とする貴志川上流のだるま石渓谷と呼ばれる景勝地の近くで橋の架け替え工事の際に発見され、紀州唯一の療養泉でもありました。

 山と川に挟まれた小さな、ご家族だけで経営されている小さな旅館で常連さんの他は、川遊びで利用される家族連れやグループに時々遭うくらい、昔ながらのレトロな、ひっそりした佇まいの湯治旅館といった趣でした。

 後から考えると高野山付近には、ゆの里やだるま湯に限らず薬効効果を謳う温泉が多く、この“マニアック”な温泉にたどり着いたのは引き寄せられていたように感じるのです。

 ただ、アトピーが悪化していた私にとっては他のお客さんを気にすることなく、ゆっくり治療に専念できるのは何にもまして有り難いことでした。


坂井 歩

プレマ株式会社 経営企画室 坂井 歩ちょっと、どこかにハマルとおかしな方向にのめり込む典型的なB型のサラブレッドです。お仕事している間はB型の血をできるだけ出さないように冷静に対処している……つもりです。
家ではこれまた強烈なB型一家。
みんなやりたい放題好き勝手、自分が一番まともだと思っているまとまりの付かない家族を日々ネタにしながら頑張っています!

- のんびりいこう等身大の敏感肌ケア - 2012年6月発刊 Vol.57

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