だるま湯を自宅のお風呂に入れるようになってから旅館の女将さんにも褒められるほど、きれいになっていきました。格段に楽になってはいましたが、手や肘、膝の裏などの炎症はまだ残っていて、なかなかスッキリしませんでした。またお風呂上がりや、ちょっとした時にからだの奥から突き上げてくるような痒みに、“肌に爆弾を抱えている”という意識は消えませんでした。
和歌山行きは相変わらず2~3週間おきに続いていました。途中、JAの農産物直売所があって和歌山特産の桃や梨、みかん、野菜諸々…を買い込んだりすることもルートの中に入っていきました。偶然ですが直売所の中で、無農薬栽培をされている農家のお母さんと知り合えたことも収穫でした。水と野菜、生活の中で重要な位置を占めるふたつをいただけること、和歌山には本当に感謝していましたし、今もその気持ちは変わりません。ただ、京都から往復400㎞も車を走らせて水や野菜を買い求めることに後ろめたさを感じていたのも事実でした。
家から近いところで良い水を、そんな漠然とした思いがあった頃みつけたのが、湯の花温泉の温泉スタンドでした。湯の花温泉は自宅から車で30分ほどの場所にあり鄙びたという表現がぴったりの、昔ながらの温泉街で薬効成分があるとか、病気がなおるとか、そういった類の温泉ではありません。ごく軽い気持ちで、温泉水が100円で200リットル貰えるという気安さもありドライブがてら出かけたのは9月上旬の頃だったと思います。
温泉宿の隙間に温泉スタンドはありました。何の施設もなく、ただ硬貨を入れれば温泉が出てくる温泉の自動販売スタンドでした。湯の花温泉の第3源泉から引かれている温泉スタンドは単純弱放射能泉( 天然ラジウム温泉) で温泉の表示の中に、お決まりの効用が並ぶ最後に「慢性皮膚病」と記載され、あながち的外れではなくてホッとしました。20リットルのポリタンクが4本しか用意できなったので80リットル入れても、お湯の勢いは止まらず手や脚や顔も洗いました。
帰りの車中、手がさらさらしたのを感じ期待しながら温泉スタンドを後にしました。
坂井 歩
プレマ株式会社 経営企画室 坂井 歩 ちょっと、どこかにハマルとおかしな方向にのめり込む典型的なB型のサラブレッドです。お仕事している間はB型の血をできるだけ出さないように冷静に対処している……つもりです。 家ではこれまた強烈なB型一家。 みんなやりたい放題好き勝手、自分が一番まともだと思っているまとまりの付かない家族を日々ネタにしながら頑張っています! |