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きのくに子どもの村通信より

【Vol.10】教育学史の巨星たち(3)

投稿日:

きのくに子どもの村通信より 
教育学史の巨星たち(3)

学校法人きのくに子どもの村学園
かつやま子どもの村小・中学校
かつやま子どもの村小・中学校の教育目標は「自由な子ども」です。生き生きとし、好奇心旺盛で、集団生活に必要なマナーを身につけている子どもです。

〒911-0003 福井県勝山市北谷町河合5-3
TEL 0779-83-1550 FAX 0779-83-1833
http://www.kinokuni.ac.jp/katsuyama/



進歩主義教育の父 ジョン・デューイ
John Dewey 1859-1952

 ジョン・デューイは、アメリカの偉大な思想家である。

 その業績は哲学や教育学はもとより論理学、美学、心理学、宗教学に及んでいる。

 なにしろ生涯に60冊の単行本と950編の論文を書いたといわれている。

 シカゴ大学に実験学校を作るなど行動的な人で、社会的関心も高く、ニューヨークの教員組合の設立の指導もした。そのせいだろう。

 彼が来日した時は、横浜への上陸の日から下関出港までずっと特高警察が尾行したそうだ。

■子どもが太陽

 「ひとことでいえば、古い教育においては、重力の中心が子ども以外のところにある。

 重力の中心が、教師、教科書、その他のいずれにせよ、子ども自身の直接の本能と活動とは別のところにある。

 …いま私たちの教育において始まろうとしている変革は、重力の中心の移動である。

 この変革は、コペルニクスによって天体の中心が地球から大腸に移されたのと同じ変革と変わるところはない。

 それは革命といってもよい。このたびは子どもが太陽となり、その周囲を教育のさまざまな営みが回転する。」

 『学校と社会』(1896年)のなかの有名な一節だ。

 デューイによれば、学校は、未来の構成員の成長を通して、社会が存続し成長するための営みである。

 ところが従来の教育は、中世の学問中心の考え方に支配されている。

 既成の知識と技術と道徳の伝達ばかりが重視され、子どもの活動性、自発性、好奇心などが無視されている。

 発想を転換しよう。子どもを中心に据え、子どもの特性を十分に検討して、教材や学習体験を組織しよう。

 さもないと変化の激しい新時代を生きる創造的な人間を育てるのはむずかしい。

 学校は、伝統的な教育観から解放され、新しい世紀(20世紀)にふさわしい積極的で自由な子どもを育てなければならない。

■現在を大切に

 子どもを太陽と見る教育は、安易な児童中心主義ではない。

 子どもを放任したり、教師の指導性を放棄したりはしない。

 むしろ子どもを太陽と見るからこそ、教師にははるかに重要な役割が期待されているのだ。

 その役割とは「教育的経験」つまり子どもを成長させるのにふさわしい経験の準備である。

 「教育的経験」とは「連続性の原理」と「相互作用の原理」につらぬかれた経験だ。

 連続性の原理とは、現在を大切にするという原則だ。

 古い教育では、一方で過去の知識と道徳が支配し(古典主義)、他方では遠い将来のために子どもの現在を犠牲にする (受験教育)。

 デューイは、過去から生まれ未来に向かう子どもの連続的な成長を重視する。

 教育の目標は、今ここにいる子どもにも見通せるうんと近い将来に設定され、つねに更新されるのがよい。一定の成長の結果(growth)よりも、成長しつつあること(growing)が大事なのだ。

■間接的な指導

 相互作用の原理とは、行動の主体としての子どもと、子どもを取り巻く環境(自然、社会、文化)との間の現極的な働きかけ合いである。

 この生き生きとした相互作用こそが興味である。

 こうした、ある種の心地好い緊張関係をつくれない教師は、第3の要素を持ち出す。

 アメとムチだ。試験をする、痛い目に遭わせる、ほめる、賞品を出す、恥をかかせる、「そんなことでは将来…」と脅すなどである。

 有能な教師は、子どもの心をとらえ、積極的な反応を引き出し、着実な成長が予想される環境を周到に準備する。

 デューイはいう。教師は直接子どもに働きかけて指導することはできない。

 子どもを指導し成長させるのは環境や場面である。教師の仕事は間接的なのだ。

 繰り返しになるが、デューイは、よく誤解されるような単純な児童中心論者ではない。

 子どもを尊重するがゆえに、教師に対してきびしい要求をする。

■為すことによって学ぶ

 子どもの興味をひき、確実に子どもを成長させる環境とは何か。

 それは「人間の基礎的な生活」である。

 抽象的な知識や既成の道徳ではない。

 ヒトが生きていく上で不可欠な営みだ。

 この営みが、教師によって教育的経験として精選され編成されたものが「活動的な仕事(activeoccupations)」である。

 「活動的な仕事」が有効な教育的体験となるには、いくつかの条件が必要だ。

 1・子どもの自発的活動である。
 2・手や体を使う具体的な仕事である。
 3・たんなる肉体的作業ではなく、知性をはたらかせる。
  知性の自由(創造的思考力)が最重要である。
 4・それ自体が目的の本物の仕事である。
 5・興味が拡大され、より広い領域へと発展させられる。
  視点を変えれば、全学習の核であり出発点である。
 6・既成の知識や技術が道具として利用される。
 7・結果として子ども自身が知識や技術や考え方を創造する。

  デューイの学習論は「問題法」とか、「為すことによって学ぶ(learning by doing)」とか呼ばれている。

  きのくにのプロジェクトのルーツはここにある。

■きのくにの子はホントに素晴らしい
 キルクハニティのガビン(ジョン校長の次男)が感心したようにいいました。

 「きのくにの子は大人に口答えしない。恐れてもいない。大人も大声を出したり、せき立てたりしない。子どもらはすごくハッピーだ。この秘訣は何か。」

 きのくにの子は、イギリスでよくほめられます。

 9月に小中そろって、スコットランド中部のブレアー城を見学しました。

 白い壁が素敵な由緒ある城です。一時間ほどの間に4人もの職員が近付いてきました。

 「ひとこと申し上げたい。あなたの生徒さんたちは最高に素晴らしい。みんな静かで、しっかり見てくださる。どうすればこういう子どもに育つのですか。」

 心の中で答えました。「そりゃ、もちろん自由学校ですからね」 (堀)

【参考文献】
◇デューイ 『学校と社会』(岩波文庫)
◇同『民主主義と教育』(同)
◇鯵坂二夫『デューイの教育学』(玉川大学出版部)

- きのくに子どもの村通信より - 2008年6月発刊 Vol.10

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