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きのくに子どもの村通信より

【Vol.34】ニイルのことば (2)権威主義はなぜよくないのか 学園長 堀 真一郎

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きのくに子どもの村通信より

学校法人きのくに子どもの村学園
かつやま子どもの村小・中学校
かつやま子どもの村小・中学校の教育目標は「自由な子ども」です。生き生きとし、好奇心旺盛で、集団生活に必要なマナーを身につけている子どもです。

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 権威というものは、無能で、依存的で、人から支配されやすい人間を生み出す。(A.S.Neill:A Dominie in Doubt,『まよえる教師』1919)

悪戦苦闘するニイル
 「かわいそうなニイル先生は、………大きな困難にぶつかっています。自主学習を始めたのです。息子のアレンは、ニイル先生のクラスの議長をしていますが、いつもほかの人たちからひどい目にあわされています。」

 これはホーマー・レーン(1875~1925)の夫人が友人に宛てた手紙の一部である。ニイルは、レーンの少年院(ザ・リトル・コモンウエルス)の自治方式に感動し、ここで働かせてもらう約束をした。しかし彼が軍隊を出た時にはすでに閉鎖されていた。そこで当時、新しい学校として名をあげていたロンドンのキング・アルフレッド校に職を得たのだ。

 これは進歩的なジャーナリストたちが創立した学校で、男女共学、体罰と試験の全廃、さらに宗教教育の廃止などを特徴とし、その頃では最もラジカルな学校であった。ここでニイルは、自主勉強方式を試みたのだ。しかし結果は大失敗であった。教師の指示に慣れていた子どもたちは戸惑い、途方に暮れ、そして大騒ぎを始めたのだ。同僚の教師からは苦情が相次ぎ、とうとう校長からは引導をわたされてしまう。

権威への逃避
 上のことばは『まよえる教師』の一節だ。書かれたのはちょうどこの頃である。前号で紹介したように、ニイルはすでに、教師の仕事は子どもを既成の価値観から解放すること、という考えに達していた。「すべての因習と迷信と偽善」から子どもを解き放ち、自分自身の生き方をきずくのを援助するのが教育の使命だという。

 しかし、こういう生き方は簡単ではない。庇護してくれるものに頼る方がずっとラクだ。それが人であれ、制度であれ、宗教であれ、権威あるものに身をゆだねる方が安心である。自立して歩む道には、孤独感や不安や挫折感がいっぱいだ。だから人は権威を求める。頼れる権威が見つからないと、何でもいいから権威があると思い込む。

 ニイルは続ける。

 「父親コンプレックスを持つものは一人立ちできない。そうした人間は困難にぶつかると、いつもきまって、父親や父親代理のところへ逃避する。キリスト教信者というのは、まさにこのように行動する。彼らは父なる神を求め、自分の重荷を神に肩代わりしてもらって、責任を逃れようとする。」

 ニーチェ流にいえば、それは「奴隷道徳」である。

しあわせな教師、不幸な教師
 フロイトも同じようなことをいっている。

 「宗教とは、世界的な広がりをもったノイローゼである。」(『幻想の未来』)

 もっとも神様は否定しても、その代用品を持ち出す人も少なくない。永遠の真理、絶対的道徳律、はたまた民族意識、革命精神、さらに社会的良識とか、なんでもいいから「よりどころ」を求めるのだ。

有限と未熟の自覚
 ニイルはいう。

 「命令に従うのはやさしい。自分自身の重荷を負い、自分自身の道を進むのはむずかしい。しかし自分自身の生き方をすること、それが理想である。」

 しかし一方でこうもいう。

 「人生についての究極的な解答が見出せない私に、子どもを教育するなどということが許されるだろうか。」

子どもと共に笑う
 自分は、権威にすがらないで生きようとする。しかし自分の生き方も思想も絶対ではない。それを自覚するなら、子どもに思想を強制したり、「神の代理人」とふるまったりはできない。子どもが生きる喜びをいだいて、自分自身の生き方を模索するように、かたわらから謙虚に援助するしかないのだ。いっぽう権威主義の教師は、権威に頼るくせに、自らを絶対視して子どもを支配する。

 ニイルは続ける。

 「私にできるのは、子どものかたわらに立ち、子どもが内から発達する自由を与えることだけだ。私には、子どもがどこに向かって進んでいくのかわからない。だからこそ、子どもの歩みを導こうとすべきでないと考える。権威を捨てよ、という私の持論の理由はこれに尽きる。」

 こういう謙虚な教師は、子どもと共に笑うことができる幸福な教師だ。そうでない教師は子どもから恐れられ、子どもを恐れる。そして子どもを笑い、子どもから笑われる。気の毒な教師だ。

- きのくに子どもの村通信より - 2010年6月発刊 Vol.34

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