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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

ゼロを目指すより、ちょうどよいを目指そう

投稿日:

お隣の中国では、中国共産党がその影響力を絶対のものにするためにゼロコロナ政策をすすめ、日本はもとより世界経済に大きな影響を与えています。政府や指導者が、空気を経由して容易に感染する弱毒のウイルスに、極端な行動制限を加えるのは強大な権力の誇示にほかなりませんから、私たちの国には、あてはまりません。しかし、いっぽうで日本人には同調圧力に逆らえない空気読みの習慣が染みついていて、マスクをどうしたらいいのか、どこまで行動してよいのかを判断するのは合理的な根拠ではなく、むしろ社会のムードが決定してしまうという弱点があります。この弱点はいっぽうで強みにもなるのですが、あえて今回は影の側面を考察してみたいと思います。
 

無意識下の「ゼロリスク志向」

誰かに強制されているわけでもないのに、マスクを主体的に外せないとか、むしろ有害な消毒を繰り返してしまう根本的な理由として、私たちのどこかに「ウイルスを、細菌をゼロにしたい」という意識が働いているのは間違いありません。清潔を求める生活習慣は極端な潔癖さと繋がっており、どこに線を引くかという判断よりむしろ、可能な限り健康上のリスクをゼロにしたいという無意識の判断があります。これは、自然な暮らしを志向している聡明な人たちには当てはまらないと思いがちですが、そうとも限りません。私たちは現在、発酵させたカカオからチョコレートを作る工程を社内でおこなっています。カカオは自然に発酵させ、その皮を剥いて加工するわけですから、有用な菌も含め、一定数の菌が存在していることはむしろ当たり前のことなのです。もちろん、明らかに身体に有害な大腸菌などが混入していると大変ですので、食品衛生に真面目に取り組んでいる私としては、できあがったチョコレートに一定の処理をして細菌検査に出しています。そこで、大腸菌の繁殖がないことを確認しているのですが、同時に一般生菌数の検査結果も併記されてやってきます。当然、発酵物の菌を検査しているのですから、ある程度の細菌はカウントされるのですが、結果がゼロでないことがわかったときのスタッフの反応に私は理解に苦しんでいます。たとえばある検体で、グラムあたり3万個の一般生菌が確認されたとしましょう。水分をほとんど含まないチョコレートには細菌数の基準が定められていませんし、水分を含むチョコレートを用いた洋菓子の衛生基準でも10万個以下、もっとよく口にする生麺であれば、300万個以下と定められています。私にはその知識があるので、「ああ、発酵後に一切の殺菌処理をしていないのに初回バッチで3万個ならいい感じ」と思っているのに、その数字をみたスタッフの顔は、その結果が不本意と物語るように歪んでいるのです。やや専門的な話になりますが、確かに、このような簡易な検査では、培養した菌のコロニーがどのような菌の種類であるかという同定はおこなわれていないので、良い菌か悪い菌かの区別はつきません。とはいえ、ゼロではない、という事実に対してこれほどまでの失望感を社内で表明されるとは思ってもみませんでした。一つは食品衛生に関する具体的な知識の欠如、もう一つは、無意識下に「ゼロを目指す」という極端な潔癖さが社会の隅々までまん延しているのだという事実を見てしまったという諦めです。
 
左のデータは、国立医薬品食品衛生研究所の発表しているデータです。私たちが外科手術や高度な衛生を目指す食品加工をしているのなら、ゼロを目指すべきでしょう。しかし、日常生活において、調理前やトイレから出たあとでもない限り、流水で手洗いする以上のことをする必要があるのでしょうか? ましてや、店の出入りのたびに手にアルコールをぶっかけることが美徳とされる風潮は私には理解できません。ゼロでない限り感染してしまう、という恐怖感が、この冬にまん延する可能性が高いインフルエンザの流行すら自ら呼び寄せているというのが私の認識です。諸々の菌への暴露を減らし続ければ私たちの免疫系はじっと寝ている状態と同じ、リスクに対応できない弱すぎる身体を自ら作り出しているとしかいえません。ゼロを目指せば目指すほど、恐れているリスクはむしろ激増するといえるでしょう。
 
私は必要以上のマスクも、手洗いも、手の消毒もするつもりはなく、むしろいろいろな菌やウイルスを身体の中に入れて生活しようとしてきました。しかし、現時点でコロナ感染はしていません。むしろ、必要なら弱毒のうちに罹っておいてもいいと考えてきました。社会情勢がますます厳しくなるこの冬を前に、どんなことにも『無意識にゼロリスクを欲していないか?』という問いかけを、ぜひこの機会に自ら問うてみていただきたいのです。

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脳の過敏反応を取り除く

私たちが根拠のない恐怖感から無意識にゼロリスクを欲してしまう理由は、脳の慢性的な疲労にあるのかもしれません。外からの情報が多すぎて、極端に凝り固まったり、ほんとうに必要な情報だけを取捨選択したりできないという自覚はありませんか? 脳の疲労を癒やすことで、自分を構成している一つひとつの細胞に感謝ができるようになり、右か左かに振り回されない自分を手に入れることができます。(脳ヒーラー体験可能、info@prema.co.jpまで)

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ゼロを目指すより、ちょうどよいを目指そう

- 中川信男の多事争論 - 2022年11月発刊 vol.182

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