最近、「有能オバケ屋敷」が多いです。やる気がでない、動けない、勇気がでないという悩みを抱えている人のほとんどは、「有能オバケ(有能でなければならないオバケ)」に取り憑かれています。住みついた有能オバケがあまりに多いと、お化け屋敷と化してしまい、なかなか手強いのです。
有能オバケに取り憑かれた人が、自分自身に投げかけている言葉は、だいたい次の2つです。
「自分にはできないのではないか?」「自分はダメなのではないか?」
この呪いの言葉が頭の中をぐるぐる巡ります。そうしているうちに、不安に心をすべてもっていかれ、元気がなくなって、ますます動けなくなってしまいます。当たり前ですが、動いてみなければ私たちは夢や目標を叶えることはできません。そんな人生まっぴらごめんですね! この恐ろしい「有能オバケ屋敷」。抜け出すには、どうしたらいいのでしょうか?
踊るが勝ちよ
抜け出す方法は、とてもシンプル。簡単です。それは「踊る」ことです。踊るといっても、バレエや社交ダンスのことではありませんよ。「心の感じるままに動くこと」です。そのように動くと決めて、踊り続けると、有能オバケはすぐ退散します。高価な魔除けグッズなど不要です。
有能オバケは私たちの「失敗を恐れる心」を呼びさます名人です。有能オバケの手にかかると、「有能でなければならない」という信念に囚われ、ずーっと「できるか? できないか?」が頭の中をグルグルします。失敗する自分を許すことができず、小さな一歩を踏み出す勇気を失ってしまうのです。一方、心のままの動きに正解はありません。「〇〇が気になるのだから、まずやってみよう」。そんなフリーダンスは有能オバケにとって天敵なのです。
グルグルよりクルクル踊ろう
クライアントのTさんは半年前、売り上げノルマのプレッシャーがキツい仕事を辞めました。「10年間、本当にやりたいことを我慢していた自分はくすぶっていたんです」と正直に打ち明けてくださったこともあります。その後、全力投球できる仕事で独立起業。精力的に働いて順調に見えたころ、「心も体も重く仕事にも手がつかない」とSOSの連絡がきました。有能オバケ警報が鳴り響いていました。
「自分はこのまま食べていけるだろうか?」「やはり自分にはできないんじゃないか?」。不安に心をもっていかれ、頭の中のグルグルが止まりません。ただでさえ疲れているのに、その疲れについて一生懸命考えていました。これではさらに疲れてしまう悪循環にはまって抜け出せない。有能オバケに取り憑かれた人の典型的な症状でした。
有能オバケの撃退法は、「心の感じるままに動くこと」でしたね。Tさんは、私から投げかけられる質問に答えるうちに、「休むことで有能な自分に戻れる」という期待をもって休もうと努力していた自分に気づきました。これでは休まるはずもありません。休みは、疲れて休みたいから休む。ただ心の感じるままに休む。それだけです。
「心の感じるままに動けば、流れが生まれる。流れが生まれるとエネルギーが湧いてくるから。それを表現すればいいんですね」「よ~し、ひさしぶりに健康ランドに行ってきます!」と、明るい表情で軽やかに語るTさんから、有能オバケの影は消え去っていました。
有能オバケは、私たちのすぐ身近にいます。私たちの「失敗を恐れる心」を肥大させる有能オバケですが、心の感じるままに動いていれば、近づくことができません。しくじっても、痛くもかゆくもない。そんな自分を取り戻せば、有能オバケを遠ざけることができるのです。私たち人間は、そんなにやわじゃないのです。それではご一緒に、シャル・ウィー・ダンス?