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しなやかな影響力のレッスン

自分も周りも自然と良くなるために

影響力のスイッチを入れる専門家人材育成・組織開発コンサルタント

賀集 美和 (かしゅう みわ)

北海道旭川市生まれ。違いを超えて人と人が共に幸せな社会を創るには?その答えを求め日米の教育機関を経て、世界 900 店舗のレストランチェーン TGI FRIDAY'S で人材育成の道に。独立後10年の歳月をかけ、誰でも一瞬で一体感を生み出し互いを活かし合うボディヴォイス®の技術化/体系化を実現。講座や企業研修を通じ、慈しみと活力に満ちた発展的な社会を共に創り上げていく起業家や管理職などリーダーを輩出している。

有能オバケを退治しよう

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最近、「有能オバケ屋敷」が多いです。やる気がでない、動けない、勇気がでないという悩みを抱えている人のほとんどは、「有能オバケ(有能でなければならないオバケ)」に取り憑かれています。住みついた有能オバケがあまりに多いと、お化け屋敷と化してしまい、なかなか手強いのです。

有能オバケに取り憑かれた人が、自分自身に投げかけている言葉は、だいたい次の2つです。
「自分にはできないのではないか?」「自分はダメなのではないか?」

この呪いの言葉が頭の中をぐるぐる巡ります。そうしているうちに、不安に心をすべてもっていかれ、元気がなくなって、ますます動けなくなってしまいます。当たり前ですが、動いてみなければ私たちは夢や目標を叶えることはできません。そんな人生まっぴらごめんですね! この恐ろしい「有能オバケ屋敷」。抜け出すには、どうしたらいいのでしょうか?

踊るが勝ちよ

抜け出す方法は、とてもシンプル。簡単です。それは「踊る」ことです。踊るといっても、バレエや社交ダンスのことではありませんよ。「心の感じるままに動くこと」です。そのように動くと決めて、踊り続けると、有能オバケはすぐ退散します。高価な魔除けグッズなど不要です。

有能オバケは私たちの「失敗を恐れる心」を呼びさます名人です。有能オバケの手にかかると、「有能でなければならない」という信念に囚われ、ずーっと「できるか? できないか?」が頭の中をグルグルします。失敗する自分を許すことができず、小さな一歩を踏み出す勇気を失ってしまうのです。一方、心のままの動きに正解はありません。「〇〇が気になるのだから、まずやってみよう」。そんなフリーダンスは有能オバケにとって天敵なのです。

グルグルよりクルクル踊ろう

クライアントのTさんは半年前、売り上げノルマのプレッシャーがキツい仕事を辞めました。「10年間、本当にやりたいことを我慢していた自分はくすぶっていたんです」と正直に打ち明けてくださったこともあります。その後、全力投球できる仕事で独立起業。精力的に働いて順調に見えたころ、「心も体も重く仕事にも手がつかない」とS‌O‌Sの連絡がきました。有能オバケ警報が鳴り響いていました。

「自分はこのまま食べていけるだろうか?」「やはり自分にはできないんじゃないか?」。不安に心をもっていかれ、頭の中のグルグルが止まりません。ただでさえ疲れているのに、その疲れについて一生懸命考えていました。これではさらに疲れてしまう悪循環にはまって抜け出せない。有能オバケに取り憑かれた人の典型的な症状でした。

有能オバケの撃退法は、「心の感じるままに動くこと」でしたね。Tさんは、私から投げかけられる質問に答えるうちに、「休むことで有能な自分に戻れる」という期待をもって休もうと努力していた自分に気づきました。これでは休まるはずもありません。休みは、疲れて休みたいから休む。ただ心の感じるままに休む。それだけです。
「心の感じるままに動けば、流れが生まれる。流れが生まれるとエネルギーが湧いてくるから。それを表現すればいいんですね」「よ~し、ひさしぶりに健康ランドに行ってきます!」と、明るい表情で軽やかに語るTさんから、有能オバケの影は消え去っていました。

有能オバケは、私たちのすぐ身近にいます。私たちの「失敗を恐れる心」を肥大させる有能オバケですが、心の感じるままに動いていれば、近づくことができません。しくじっても、痛くもかゆくもない。そんな自分を取り戻せば、有能オバケを遠ざけることができるのです。私たち人間は、そんなにやわじゃないのです。それではご一緒に、シャル・ウィー・ダンス?

- しなやかな影響力のレッスン - 2023年7月発刊 vol.190

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