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きのくに子どもの村通信より

堀 真一郎 (ほり しんいちろう)

1943年福井県勝山市生まれ。66年、京都大学教育学部卒業、69年、同大学大学院博士課程を中退し大阪市立大学助手。90年、同教授(教育学)。大阪市立大学学術博士。大学3回生のときにニイルの自由学校「サマーヒル・スクール」の存在を知る。「ニイル研究会」「新しい学校をつくる会」の代表をつとめ、92年4月、和歌山県橋本市に学校法人きのくに子どもの村学園を設立。94年に大阪市立大学を退職して、同学園の学園長に専念。宿題がない、テストがない、チャイムが鳴らない。週1回の全校集会を含むミーティングは子どもが議長。ニイルとデューイを実践において統合した教育を方針とするため自由学校を創設した。

【Vol.37】実際生活、芸術、遊び、そして自治 ー自由な子どもに育つためにー<br>ジョン・エッケンヘッド(1988年10月、長崎市の公演より)

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きのくに子どもの村通信より

学校法人きのくに子どもの村学園
かつやま子どもの村小・中学校
かつやま子どもの村小・中学校の教育目標は「自由な子ども」です。生き生きとし、好奇心旺盛で、集団生活に必要なマナーを身につけている子どもです。

〒911-0003 福井県勝山市北谷町河合5-3
TEL 0779-83-1550 FAX 0779-83-1833
http://www.kinokuni.ac.jp/katsuyama/


まず生きる力
 教育の目的は何か。自由学校は何をめざすか。その答えは単純です。生きるのに最も必要なもの、これこそ教育の目的だと思います。義務教育が始まったのは100年前です。しかしそれ以前の人は野蛮だったわけではありません。今日、私は有田で陶磁美術館を見学しました。あの見事な作品は、みな200年も300年も前のものです。昔の人は、学校へ行けとも勉強しろともいわれませんでした。でも、あんなに素晴らしい作品を生み出したのです。

 昔の人が必ず学んだのは、生きる上で最も必要な技術です。まず第一に食べ物です。だから私たちの学校には農園があります。畑をつくり、ウシやブタやニワトリを育てています。男の子も女の子も農業を学びます。

 生きるためには住居も必要です。昔の人は家を建て、ものを作ることを学びました。ですから私たちは、授業に建築や工作をとり入れています。ひとことでいえば、衣食住に結びついたことを学んでいるのです。

つぎに芸術
 人間がほかの動物といちばん違うのは、利口で物知りだからではありません。人間には想像力があります。ことばがあります。だから音楽や詩をつくり、絵を描き、焼き物を作ります。つまり芸術です。この想像力という天賦の力によって人間は著しく違っています。人間の赤ん坊は、想像力と芸術という贈りものに恵まれて生まれてきます。

 そこで私たちは実際生活の次に芸術を大事にしています。子どもは歌をうたいます。音楽をつくります。絵も描き、工作も楽しみます。ダンスもします。こういう時はみな幸福です。楽しいからしあわせなのです。楽しむこと、それが肝心です。

遊びと自由
 ニイルは「子ども時代は遊びの時代」といいました。子どもであるということは遊ぶということです。そして遊んでいる時に、心の中で何が起きているかが大切です。何を考えるかよりも、何を感じているかです。遊んでいる時に感じているもの、それは「しあわせ」ではないでしょうか。

 学校では芸術や遊びはとても大事です。芸術家は争いません。仲間と力を合わせたり楽しんだりします。芸術と遊びこそはふれあいと共同への道なのです。

 芸術は自由学校そのものです。芸術に打ち込んでいる時、だれも暴力を振るったりしません。ダンスをする。ドラムをたたく。ピアノを弾く。つまり一人ひとりが自分のしたいことに打ち込んでいる時、私たちは全く自由です。そういう意味で自由である時、子どもたちは確実に成長しています。

ともに生きる
 さて、生きていく上でさらに必要不可欠なものに、公平または平等があります。だからキルクハニティでは、毎週、全校集会が開かれます。すべての子どもと大人が手づくりのドームに集まります。腰かける者もあれば、床にすわる者もあります。年長の子が議長と書記をします。学校内のことなら何でも議題になります。おこづかいのこと、食事のこと、さらに先生の善し悪しまで話し合います。

自由な人とは
 かつてソクラテスは、教育の目的は何かと問われて、「汝自身を知ること」と答えました。数学や言語の勉強ではありません。自由学校の使命、それは子どもが自分を知っている大人へと育つための援助をすることだといえるでしょう。

 どうすれば子どもは自分自身を知るでしょうか。机にすわって先生の話を聞けばよいでしょうか。決してそうではありません。むしろ自然で自由な子どもであること、心を通わせて何かをする、そして楽しむ。そこに自分自身を知るにいたる道が開かれています。

(訳・編集 学園長 堀 真一郎)

- きのくに子どもの村通信より - 2010年9月発刊 Vol.37

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