今の今まで、デンマークの若者と次のビジネスのステップについて相談していました。相談していた、というよりも彼にとっては商談。休暇中に京都にやってきたついでに私たちの店(プレマルシェ・オルタナティブ・ダイナー)に寄ってくれた、というのが正しいのですが、私にとってはむしろ相談であり、日本という国を考え直す自省のような時間だったのです。
彼の働いている会社はデンマークの革新的企業であり、廃棄されてしまうような不揃いな、または一部を加工食品にした食品残渣を特殊な発酵技術を用いて「うまみ」素材に変えるという会社です。プレマのお客様がこの話を聞くと、『げんきうまみの素』のようなものね、と想像がつくと思います。実際、『げんきうまみの素』は、どんな料理にも使えるとても便利なだし素材で、なにに入れてもおいしく味変してしまうので、愛用していただいている方も多いでしょう。この品が優れている点は、なんでもおいしくしてしまうだけではなく、その原料が別の加工品を作ったあとの廃棄される素材を使っていること、そして、特殊な破砕技術によって、これらのたんぱく質を微細化したペプチド(アミノ酸の繋がったもの)のレベルまで細かくしていることです。たとえば本品の素材のひとつであるカツオは、ツナ缶や鰹節を作るために赤身を切り取ったあとの骨や頭は廃棄される運命にあります。生き物の命を奪いながら、すべてを活用せずに単なる廃棄物にすることは誰でも良くないと思うわけですが、実際のところ骨や頭ではなにも作れないと一般的には考えられており、経済合理性の前で捨てられてしまいます。しかし、技術さえあれば、これらを微細なレベルにまで細かくし、一切の化学合成物を使わずにうまみに変えることが可能です。さらに、その破砕のレベルが極端に細かいことで、私たちの身体が必要としているたんぱく質よりもずっと細かいペプチドのサイズにまで分解されています。そのため、うまみの足しにと思って料理に入れるだけで、私たちの内臓の努力をほとんど必要とせず吸収されて肝臓に運ばれ、人体を再生する材料となるのです。多くの方はご存じかと思いますが、食べ物に含まれるたんぱく質は、そのまま吸収されて人体の素材に変化することはありません。消化管の多大な働きでアミノ酸やペプチドになってから吸収されていますので、ペプチドを摂ることは何倍もの量のたんぱく質を摂るよりも素早く人体の再生を促す素材を摂っていることになります。実際、アトピー性皮膚炎と魚アレルギーとがあるスタッフに『げんきうまみの素』を食べてもらったところ、ボロボロになっていた皮膚が数日でつやつやに変化して、アレルギーも出なかったという経験があり、「ただ細かくしているだけではない」ことがよくわかります。
中川信男の多事争論
「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す
プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ
京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。
守りと革新
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まだまだ負けない、純日本技術
発酵技術の多様性を発揮させている海外製品の素晴らしさのなかで、まだ彼らにはできないだろうと思うのが文中でご紹介した『げんきうまみの素』。時間がかかる発酵ではなく、爆発物を作る技術を応用してたんぱく質の微細化に成功した食材です。和洋中、なにに入れてもおいしくなり、身体のもとをそのまま食べることができる卓越した素材で、現在は植物性100%にも技術応用の研究中。お湯に溶かして飲むだけでも、身体が満足する魔法の栄養源です。