「美味しく・楽しく・学べる」体験型観光での案内で、初めて見る・知る内容に「へぇ~ほぉ~」と驚き、感心、納得していただくことが多いお話をご紹介します。
バナナやサトウキビが地上5メートルの高さに成長しているということは、根っこから吸い上げた水を、重力に反して5メートルの高さにある葉っぱまで持ち上げて運んでいるということです。ポンプで地上5メートルまで水を持ち上げること、あるいは長いストローを使って地上5メートルの高さからコップのジュースを吸い上げることを想像すると、それは大変な作業に思えます(汗)。
話を広げると、アメリカにあるセコイア(ヒノキ科の常緑針葉樹)の木は地上115メートルの高さまで水を吸い上げています。対して、動物は心臓を動力ポンプとして頭のてっぺんまで血液を送り込んでいますが、人の2倍近い血圧で圧送するキリンでも、高さ(すなわち心臓から頭までの長さ)は、たかだか3メートル程度(汗)。
植物はどんなにすさまじい力で、根元から水を押し上げているのでしょうか? あるいは上から水を吸い上げているのでしょうか? 実は葉っぱからの「水の蒸散」による吸引力によって地面から水を吸い上げています。根っこから、サトウキビなら茎、バナナなら葉鞘、セコイアなら幹を通して、とてつもなく長くて細いストロー(導管)が何本も上まで伸びていて、ストローのなかは切れ目なく水で満たされています。ストローのてっぺんは葉っぱにつながっていて、さらに細いストロー(葉脈)や毛細血管(綿状組織)に連結されています。葉っぱの表面に点在する気孔から水が蒸散する際に、ストローでジュースをチューッと吸い上げるのと同じような吸引力が働きます。気孔に直結する多数の細いストローで、地上からはるか5~115メートルの高さまで、水を吸い上げているのですね。