子どもの頃、夏休みになると田舎にすむ祖母が我が家に遊びに来てくれました。「美恵ちゃんの大好きなお土産持ってきたよ。」といって渡されるのは、祖母が毎年漬ける梅干しでした。今から考えるとどうしてかわかりませんが、祖母の漬けてくれる梅干しが大好きでした。
梅干しは日本人に受け継いで欲しい伝統的な食べ物のひとつに思います。青梅は陰性のエネルギーが強くそのまま食べることはできません。その青梅を陽性の引き締める力を持つ塩と出会わせて陽性のエネルギーへと変化させます。そして7月の土用のころに3日以上天日に干して安定のエネルギーを体験させ、抗菌作用を持つ赤シソと一緒にさらに漬けこんで梅干しが出来上がっていきます。マクロビオティックでオススメの梅干しはやっぱり天日に干したことが条件になります。今では機械で乾燥させたものや、天日に干さずに漬けたままもの、はちみつや添加物が入っているものも多いようです。
そんな中、いいお塩を使って天日に干した梅干しを皆様に食べて欲しくて、満月のお塩の能登製塩さんにお願いをして梅干しを作ってくださる人をさがしてもらったのです。梅干しといえば和歌山が有名ですが、能登製塩さんがある奥能登にも「若山」という地域があり、なんとそこには自生の梅がたくさん育っていて梅干しを漬けているというのです。梅で有名な和歌山と同じ「わかやま」ということで、なんとなくいいかもしれないと直感的に思いました。さらに嬉しかったのはそこで梅干しを漬けてくださるおばさまたちのお話です。
「若山のおなご衆の元気がなくなってきたから、なんとか元気を取り戻さんと思って色々考えたんだけど、私たちが自信をもって出来ることは梅干しを漬けることぐらいで。それでも日本中の有名な梅干しを漬けているところに勉強に行ったけど、私たちが作ったのが一番いいと思ったから。」と笑顔で話してくださいました。「自分たちは工場も何にもないけれどこの手があるから。」と見せてくださった手は長年梅干しを漬けこんできた手です。
きっと、その手が重ねてきた経験に工場や計算で作るものとは違う美味しさがあるのでしょう。それは私が祖母の梅干しが好きだったのと同じ感覚なような気がします。都会の忙しい毎日では梅干しを漬けるのは少し大変という人のために、みんなのおばあちゃんの代わりに漬けてもらっている梅干しです。
梅干しはお病気治しにも使える、お家のお台所には必ず常備しておいてほしい食材のひとつです。お病気治しの梅干しとして、梅干しがいい状態で変化できる環境で出来あがっているもののほうがエネルギーは高いように思いますので、奥能登のおばあちゃんたちの梅干しのように年季の入ったものがオススメです。簡単で便利も大切ですが、やっぱり積み重ねて出来上がる美味しさや力を私たち女性は見直す時代に入っているようにも思います。
だから一度は梅干し作りを体験することをオススメします。たくさんだと難しいようなら1キロからでもご自宅のベランダで梅干しを漬けてみませんか?きっとご先祖様がずっと続けてきてくれたこの素晴らしい6月の行事の意味を感じることが出来るように思います。今年始めたら、5年後にはもっとエネルギーの高い梅干しを漬けることが出来るはずです。ね。だから始めてみませんか?梅干し作りを。
中 美恵
.。゚+..。゚+.☆ 今月のMie’s Recipe ☆.。゚+..。゚+
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中美恵
中美恵(なか みえ)氏 KII認定 マクロビクッキングスクール校長 東京南青山プライベートサロン Mie’s Room 主宰 1997年に、KII認定マクロビオティックカウンセラー・中広行氏と出会い、料理法や理論を学び始める。 2000年「おいしく、楽しく」をテーマにした「マクロビクッキングスクール」を大阪に開校し、全国に展開。現在は料理に留まらず、マクロビオティックに出会うことで多くの可能性を手に入れた自身の経験を活かし、「年を重ねるごとにキラメキを増す」「今の時代に望まれる素敵な女性」をテーマに、多彩な場面で活躍中。 中美恵公式サイト https://miesrecipe.jimdo.com/ >> |