1年に渡って、このスペースを戴いてきましたが今回で最終回となりました。
温泉でアトピーを治すきっかけを貰ってきましたが、解毒を促進するとはいえ、温泉もスキンケアのひとつですから根本解決とはいえません。温泉療養もいつかは卒業しなくてはいけないと思っています。
アトピーが一番悪化していた頃のことです。
家族の目を避けて、ひっそりお風呂に入ろうと準備していたとき、背後から「お母ちゃん、大丈夫?」と娘の声がしました。実はいちばんこの姿を見せたくなかったのはアトピー持ちの娘でもあり、ギクッとしながら「大丈夫に思えないやろ~」と冗談めかして答えると更にひと言。「お母ちゃん、なんか死んじゃう気がして…」アトピーで命を絶たれることはないと分かっていても、娘にそれだけの重さを背負わせていたことがショックで慌ててお風呂場に逃げ込んだことを覚えています。きっと自分も辛さを知っているからこそ、いたたまれない思いだったのでしょう。
それにひきかえ自分を振り返ってみれば、夜中掻きむしる娘に優しくできていたか、根治のために努力を惜しまなかったか、胸を張れることは何もありません。お風呂の中で涙さえも出ない情けなさでした。アトピーに限ったことではありませんが、我が身で体験してみて、ようやく自分の浅はかさを理解できたのでした。
温泉で治すことに、一番負担をかけていたのは主人ですが、嫌な顔もせず、遠い道を往復し大量の温泉水を運び続けてくれました。100kg 以上の水を山道、市街地、高速道路を通り持って帰ってくるなど運転の拙いわたしではできなかったことです。義理の両親
も、いつの頃からかアトピーに効くと言われるお水を山道からポリタンク抱えて持ってきてくれました。
自分のことで精一杯でしたが、周囲を見渡すと、常に誰かに支えられていたことに気付かされます。ふと見渡せば自分の近くに色んな形で、手を差し伸べてくれるものがあったのでした。
アトピーと闘っている方はたくさんいらっしゃると思います。わたしの経験がすこしでもお役に立てたなら、これほど嬉しいことはありません。1年間つたない文章におつきあいいただき、ありがとうございました。
坂井 歩
プレマ株式会社 経営企画室 坂井 歩 ちょっと、どこかにハマルとおかしな方向にのめり込む典型的なB型のサラブレッドです。お仕事している間はB型の血をできるだけ出さないように冷静に対処している……つもりです。 家ではこれまた強烈なB型一家。 みんなやりたい放題好き勝手、自分が一番まともだと思っているまとまりの付かない家族を日々ネタにしながら頑張っています! |