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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

【Vol.19】豆腐(TOFU)に群がる人々

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先日ドイツのニュルンベルクで行われた世界最大のオーガニック製品展示会でのこと。世界最大との呼び声通り、二千七百社の出展者が不景気を吹き飛ばすかの如くの賑やかさです。そんな一角で、大勢の人だかりが出来ているブースに特徴がありました。それは「豆腐関係の商品のブース」だったのです。試食をさせてくれるから人だかりが出来るという理由もあるのですが、単にそれだけではなさそうです。当然、ドイツでの出来事ですから、彼らの普通の食生活は肉とチーズやヨーグルトなどの乳製品、そしてパンやイモなどですが、ベジタリアンとは言わないまでも『代替肉』『代替タンパク質製品』への需要が日増しに高まっているようなのです。 

ご存じかもしれませんが、肉食のもたらす問題を復習してみたいと思います。まず一つめは世間から広く知られているとおり、肥満や生活習慣病の原因となること。高カロリーで高脂肪であることを考えれば当然のことですし、それだけではなく肉食をすれば人間の体は酸性化し、特に日本人は伝統的に穀菜食を中心としてきたために腸が長く、肉の消化には長すぎるために腸内で不正発酵を起こし、様々な病気の温床となり得ます。二つめは家畜を肥育するにあたって大量の穀物や水、エネルギーを必要とすること。牛を一キロ太らせるためにはおよそ八キロの穀物を必要とすることや、牛肉一キロに必要な水の量は約二万リットルにも及ぶことは意外と知られていません。三つめは肉食によって化学物質を大量に体内に取り込む結果となること。生体濃縮と呼ばれるこのプロセスは、家畜が食べる穀物や牧草に使われた農薬などが、家畜の生体内にその多くが排泄されず蓄積され、それを食べる人間は農薬がかかった穀物や野菜を食べるよりもはるかに多く摂取する結末をなるのです。他にも多種多量な問題が叫ばれていますが、健康のためにもこれから来るであろう水不足や食糧難を乗り越えるためにも肉食を控えることは大きなメリットがあると言えます。 

そして、伝統的に肉食をしてきた欧米ではいろいろなメリットが知られるようになって日本の伝統食が非常に高く評価され、豆腐を加工したウインナーやハムもどきに人だかりができる一方、日本食レストランに行けば寿司や刺身に混じって、カツ丼やすき焼きがメニューに並ぶこの不思議。日本人は日本の何が評価されているのかをもう一度見直す時期に来ているように思います。 

それだけではなく、ヨーグルトやチーズなど牛乳を原料とする乳製品についても、ずっとこれらを愛好してきた彼らが「ヨーロッパでは乳製品がアトピーやアレルギーの原因になっていて、代替乳製品がすごく売れるんだけど、日本にはこんな問題はないよね?」と聞いてくるのです。結論はご存じの通り、乳製品が原因と思われるアレルギーは、これらを戦後まで食べて来なかった我々にはもっと深刻な状態になっているとは、彼らは想像もしないのでしょう。「とんでもない、新しい穀物や豆由来の代替乳製品は日本でも確実に市場は広がっているよ」と答える私はかなり複雑な心境だったことをご想像頂きたいと思います。

- 中川信男の多事争論 - 2009年3月発刊 Vol.19

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