【危険な徴候】
3月3日の日経ビジネスオンラインで中国やサウジアラビアなどの中東産油国が世界各地で農地を買いあさっているというニュースが出ていました。中国も中東産油国も人口増加が続いており、食糧の確保が最重要課題となっています。
中国は一人っ子政策で人口増のスピードは遅くなっていますが、それでも今後3億人ぐらい人口が増え15億人ぐらいになります。一方、工業化や自動車の増加等により、耕地を工業用地、道路、ショッピングセンター等に転用、砂漠化や地球温暖化による水不足で、急速に農地が減ってきています。また農業から工業やサービス業への労働力の移転が激しく、農業生産力は落ちつつあります。ちょうど、日本が昭和30年代以降、農業から衰退して自給率が急激に落ち込んだのと同じ状況が始まっています。
中東産油国はもともと砂漠で、農業生産はほとんどなかった土地ですが、世界最高レベルの人口増加と食生活の変化で食料輸入が急増、今後もこの伸びは止まらないと予測されています。このため中国も中東産油国も国家戦略として中長期的な食糧の確保を目指し、海外で農地を購入しています。
このことが意味することは何でしょうか?
今まで日本は世界中から食料を輸入して豊かな食生活を実現してきました。それは世界市場に食料が十分にあり、その食料を買うだけのお金を日本が持っていたからです。ただ、これから先は大きな変化が起こると予測されます。中国も中東産油国も海外の農地で生産した食料は自国への供給を最優先するでしょうし、輸出する場合でも価格のコントロールを強めていくと思われます。こうした国々が農地を買っていると言うことは世界市場に流れる食料も急速に減少すると思われます。
まだ食料に余裕があった2008年でも天候等の変化で不作のニュースが伝わると、穀物価格は軒並み2~4倍に暴騰しました。一方、石油価格の高騰もあり、日本の貿易黒字は急速に減少しています。世界で自由に買える食料がなくなる日、あるいは日本が食料を買う代金を払えなくなる日が近づいているのかもしれません。そしてもし、食料輸入が止まれば、最初の1年間に3,000万人以上が餓死するとのNHKの予測もあります。
そんな事態を避けるためにも早急に食料の自給率を高めていかなくてはなりません。農民の高齢化が進んでおり、農業が崩壊するまでそれほど時間は残されていません。今が日本の農業を守る、そして日本という国自体の崩壊を避ける最後のチャンスかもしれません。日本の農業を守るために一人ひとりができることをすぐに始めていくことが大切だと思います。