8月号はずっとこのことを書こうと心に決めていました。スウェーデンで夏期学校に参加した3週間、東欧を中心とした世界各国の参加者とともに過ごしたときのことです。
それは8月9日の夕方。みんなが集う部屋のテレビでは、めずらしく遠く離れた日本の話題が流れていました。
「日本に原爆は2回投下されたんだ。1回だけだと思っていたよ。」
ある東欧出身の青年の独り言が聞こえ、私を含めその場に居合わせた日本人参加者に衝撃が走りました。世界では原爆や戦争の事実が正しく伝えられていないのではないかと思い、ものすごくショックでした。
世界で唯一の被爆国、日本。私たちが世界平和に果たすべき役割は大きいと強く感じた瞬間でした。
ただ単にその青年が事実を知らなかっただけかもしれません。でも今振り返ってみると、私もその青年と同じだということに気付きました。日本が犯した過ちや世界の問題について、私も知らないことだらけです。
興味を持つかどうか、何か行動を起こすかどうかより、まずは事実を知ることが大切だと私は思うのです。どんな行動も知ることが第一歩だからです。
貧しい国や紛争地。そのような国々で現地の人々と共に問題を改善していきたいと強く思い、私は世界に飛び出しました。とにかく何かに貢献したいと思って。
実際に行ってみてその場で尽力するのも重要だけれども、同時にこの目で見た現実を日本やその他“先進国”と呼ばれる国の人々に発信して知ってもらうことも必要だと強く感じました。なぜなら世界の問題は私たちの生活とつながっており、私たちは蚊帳の外ではないからです。
一人でも多くの人が世界の現実を知り、何かしらの考えるきっかけにつながれば幸い。それが私の役割であり、天命のひとつだと感じています。だから、私は発信し続けます。その一歩がこのコーナーであることに感謝しながら。