アフリカから東南アジアにひとっ飛び。モザンビークのお話しはまだまだ尽きませんが、ちょっと息抜きに今回はカンボジアでのお話しです。
カンボジアは私が初めて訪れた“発展途上国”。大学一年生の秋でした。有名な世界遺産、アンコールワットのあるシェムリアップという街に、日本人数十名で小学校を訪れたときのこと。私はそこでスーパーガールに出会いました。カンボジアの女の子と言えばたいてい長いストレートの黒髪をひとつにゆっています。でもそのスーパーガールは短い髪で、年は10歳くらい。
彼女、何もおかしいことが起きていないのにとにかくすてきな笑顔で豪快に笑うのです。その笑いっぷりたるや本当に見事。彼女が笑い出すとあっという間に周りは人だかり。そして群衆も自然と笑顔に、言葉がわからない私たち日本人もその様子に笑いが止まりません。
周りが引いてしばらくたった後、私は彼女と話したくて側にいました。すると彼女は片言の英語を必死にふり絞って寂しそうに私に言いました。「わたしはかわいくない。裕福でない。」
私に何かを望んでいる様子はありません。さっきの笑顔とは裏腹な彼女の様子になんと声をかけていいのか困惑しました。確か私は「そんなことはないよ」と彼女に言ったと思います。ありきたりな言葉しかかけられなかった後悔の念。そんな言葉は彼女に届くはずもなく、もっと大切なことを伝えられたのではと今も胸に引っかかっています。
カンボジアのことを知るには短すぎる滞在でしたが、言葉がわからなくても人と関わることの大切さと奥深さを学びました。その人個人だけではなく、とりまく環境やひいてはその国の一面をほんの少し垣間見たように思います。そして同時に自分の未熟さも。
とてもすてきな笑顔とパワーをもっている彼女が、自分の可能性に気づき、自分に自信をもって生きていてくれたらと切に願ってやみません。