昨年の2月に弟夫婦に子どもが生まれました。中島家の初孫です。初めて甥っ子を抱っこしたとき、「愛おしい」という気持ちを体感しました。みんなこうして生まれてきたのだと思うと、感慨深く、私が今、ここに存在していることは、とても価値のあることだと思えました。
実は、私は自分のことがあまり好きではありませんでした。母に「もっと別の顔で、別人格で生まれたかった」とひどいことを言ったこともあります。厳しく育てられた私は、母は私のことが嫌いなのだと思っていました。先輩から「あなたは初めての子どもだから、生まれてきたときはとても可愛がられたはず」と言われたことがありましたが、「そんなの記憶にない、それに今は大切にされていない」と歪んだ捉え方もしていました。
ところが、甥っ子が生まれて私も家族も大喜び!
私たちのところに来てくれてありがとうという想いと同時に、「私もこうやって生まれてきたんだ。家族も、友達も、同僚も、電車で隣になった見知らぬ人も、同じ尊い存在なんだ」と思えたのです。私がここにいられるのは、両親がいて、母がお腹を痛めて産んでくれたおかげ。母も歳を重ね、あとどれくらい一緒に元気に過ごせるだろう。そう考えたとき、元気なうちに感謝の言葉を伝えようと思いました。
しかし、いざ面と向かうと言葉が出ない。「母が元気なうちにきちんと伝えないと後悔する。私も母も明日必ず元気に生活しているという保証はない」と、自分にムチうち続けましたが、なかなか勇気が出ませんでした。そして昨年12月、私の誕生日になら言いやすい!
これを逃してはいけないと腹を括りました。母の寝室の前で数分間葛藤した後、思い切ってドアを開けると、電気はすでに消えて、母は布団の中でした。
私「お母さん」母「なに?」私「……いつもありがとう」母「そうやな」私「……産んでくれてありがとう」母「……今な、口にテープ貼ってんねん」私「え?」母「……」私「あ~、口の中が乾燥せえへんように貼ってるってこと?」母「通っている歯医者さんから貼ってくださいって言われてんねん」私「そうなんや」
予想外の反応でしたが、伝えた瞬間、涙が出そうになりました。その後、私と母の関係はずっとよくなりました。このきっかけをくれた甥っ子に、本当に感謝です。これからも後悔のないよう、周りの人に感謝の言葉を伝えようと思います。
お客様サポートチーム
中島 育美(なかじま いくみ)
お客様サポートチームで仕事をしています。毎朝の掃除時間が楽しみで5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)リーダもしています。一番楽しい掃除はトイレ掃除!
やりがいと達成感が感じられるところが魅力なのです。