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中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

東日本大震災から8年

投稿日:

平成が終わる今年。あらゆることが、新しい時代を迎える区切りとなる年です。昨年12月、今上陛下のお誕生日に際し、陛下が何度も触れられたのは、沖縄、アジアなど先の大戦の被害者に向けられたいつも変わらぬお心と、繰り返される国内災害の回想、そして慰めのお気持ちでした。
幸いにも、私たちの国はあの忌まわしい福島第一原発の過酷事故にも関わらず、国が崩壊するほどの被害には至らなかったわけですが、これはほんとうに「不幸中の幸い」と言わざるを得ません。そして、遠くに住んでいる人にとっては、「自分は何事もなくて良かった」ですむ話かもしれませんが、原発至近に生活する人にとっては、今もなお何も変わらない厳しい現実が続いています。廃炉作業は遅々として進まず、現時点ではメルトダウンした燃料デブリにロボットの手がやっとタッチできただけです。膨大な数の人の犠牲と尽力にも関わらず、8年経ってもこの程度の進捗にすぎません。廃炉が終わるのはいつになるのかいまだ定かではなく、また大きな災害がやってくれば、休止している原発がどうなるのか誰にも想像できません。原発を作ってきた国内企業のトップですら、「とても経済合理性がない」とさじを投げているにも関わらず、まだ国がエネルギー政策に「原発再稼働、あわよくば(国内外に)新設」という野心を持っている理由がまったく見いだせません。少しも持続可能でない、コストの掌握もできない、事故が起きたらどうしようもない、ゴミを捨てるところすらない、捨てたところで何百、何千年も管理し続けなければならないものを、まだ諦めない理由が私にはまったくわからないのです。
毎年3月には同じことを書き続けている気がしますが、これは決して政治のテーマではありません。今日も福島では、小さな女の子たちが将来やってくるであろう悲しみの種のなかで成長し、農家さんはけがされた土地を回復させるべく必死に耕しているのです。どのような立場を持っていようと、自分の住む国とその国民が幸せに栄えることを望む気持ちは変わりないはずなのに、この当たり前のことを書けば書くほど、「原発を否定するのは非国民、そんな〝パヨク〟な商売人は大陸に帰れ」「福島を応援とは、〝マスゴミ〟と国の回し者」というような下品かつ異常な空気のなかで会社の立場は苦しくなっていきます。それでもなお、書き続けざるを得ないのは、今年を最後にしたいと望んでいるからです。新しい時代は、持続可能であることだけに集中できる、そういう時代になってほしいと心から願っています。「誰も置き去りにしない」という価値観こそ、新しい時代と私たちの事業の芯にあるべきと、自分に言い聞かせて、福島の皆さんとともに私たちは存在していきたい。これが、今年の決意です。

そして、老いる

昨月、弊社は創業から20周年を迎えました。記念セールの途中にいただいたメールの多くは、もう十数年以上も弊社を支えてくださっているお客様からの暖かい励ましの声でした。創業当時からお付き合いいただいているお客様の場合、その年数分、それこそ人生の年輪を重ねておられます。
私はギリギリ二十代で創業しましたが、もう五十代を目の前にして、恥ずかしながら髪も減り、スマホの文字は見にくくなり、徹夜でもしようものなら回復までに数日かかるようになってしまいました。過去に手術で体にメスを入れたこともあり、寒くなるとしびれまであって、仕事でなくても誰かと会って話をすれば健康の話題がとめどなく……というありさまです。
でも、それでいいのです。お客様の悩みに共感をもって共有し、これはどうしようと考え、何かにトライして、また学びます。誰もがそうやって年を重ねる間に、多くの経験をし、思慮が至らなかった過去を反省して、少しずつ賢くなっていくのです。
そんな私にとって、今上陛下のお姿はとても励みになります。憲法に定められた〝象徴〟としてのお立場もあって、いろいろなお考えを率直に表現されることは叶わないという、私たち一般の国民とはまったく違う難しい状況のなかでも、国と国民、そして世界の人々の安寧と弥栄(いやさか)をひたすら祈念される日々を想像するだけで魂が震えます。陛下のお姿が私たちの心を打つのは、ご自分のことよりも大切にされていることがあるからにほかなりません。2011年、ブータン国王が新婚旅行の地に福島を選ばれ、ご夫婦で子どもたちを慰問されたときにも感じたことですが、利他に生きることの絶大な価値と影響力を考えるとき、私たちの誰もが不可避である「年齢を重ね、老いていく」という過程において、それを嘆くことよりも先にするべきことがあります。それは、自分の人生を自分以外の誰かに差し出すことではないでしょうか。陛下のお姿に、その思いが押し寄せてきます。
このようなことを書くには今の私は未熟すぎて、恥ずかしい思いの方が先に立つのですが、残された時間は無限ではありません。むしろ、最後の時が近くなっていることが確実だからこそ、「これは、誰かの役に立つのだろうか」という問いを続けながら、〝お仕え事〟を続けていきたいと思っています。

アレルギー体質をなんとかする オメガ3系の油

最近は、花粉症や食物アレルギーに加え、多種多様なアレルゲンに反応してしまう方が多く、どんどん複雑化している印象です。
自分がだめなアレルゲンから離れようとする「除去発想」だけではもう追いつけない方も多いのでは。反応しにくい体作りには、
オメガ3系の油を常食するのが一つの近道。いろいろあるものから、自分に合うものを探しましょう。

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東日本大震災から8年

- 中川信男の多事争論 - 2019年3月発刊 vol.138

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