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生産者さん紹介

プレマの商品を作ってくださっている生産者さんたちを紹介。 その魅力に迫ります

分かち合う世の中を作りたい
偶然に導かれたカカオとの出会い
株式会社GOROCUBA 代表 片山 吾郎氏

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マクロヘルス®シリーズのマヤカカオは、メキシコの奥地、マヤ文明の遺跡が点在する緑豊かな森のなかで育てられています。この秘境のカカオを見つけたのが、株式会社GOROCUBA代表の片山吾郎氏。3・11大震災後、キューバに渡りカカオ豆の力に気づき、小豆島の出会いからマヤカカオへと導かれる……偶然の出会いが重なるカカオをめぐる旅のお話を伺いました。

小豆島の工房で、毎朝手作業で焙煎をおこなう片山氏。焙煎中はカカオの力を強く体感するときで、「現地で発酵を担当している人も、毎年会うたびに若々しくなっています」という

カカオと出会うきっかけとなったのが、3・11大震災です。震災の影響で仕事が続けられなくなり、被災地にボランティアに行ったものの全然役に立たず、なにをして良いかわからない状態で、以前から憧れていたキューバに、逃げるように行ったんです。昔、スペインに住んでいたことがあったのですが、ラテン系の友達の家に必ずチェ・ゲバラの写真が飾ってあって、話を聞くうちにキューバに憧れをもつようになっていました。

実際にキューバに行って、現地の人に教えてもらった場所を目指して自転車で走っていたときのことです。ある工場の前を通り、その換気口から出た煙に包まれた瞬間、意識が飛ぶ感じがしました。そこはチョコレート工場で、カカオ豆の焙煎中に換気口の下を僕が通ったんです。工場の人に聞くと、カカオ豆には強力な覚醒作用があり、その煙を大量に吸ったことで意識が飛ぶ感じがしたようです。また、抗酸化作用も強力だと聞いて、放射能の問題がある日本で役立つのではと思い、その場で50キログラム購入して、自分の荷物は全部現地の人にあげて、詰められるだけ詰めて帰国しました。

日本に帰り、カカオのパウダーをホットチョコレートのようにして飲んでもらうと、子どもからお年寄りまであきらかに空気が変わり、元気になった。これは間違いない、日本に広めたいと思って、キューバ大使館に話をしたら、輸入は法人でないと難しいといわれ、GOROCUBAを設立しました。そして現地の企業に連絡をとったのですが、なかなかうまくいかず、時間ばかり経っていきました。そんなとき、被災地のボランティアで知り合った女性が小豆島で個展を開いていると知り、昔からの友人が小豆島に移住していたこともあって、小豆島に行こうと思い立ちました。家賃は安いし、野菜や魚は近所でもらえるし、2年くらい暮らすと経済的にも余裕が出てきました。その間もカカオのことが忘れられないでいたところ、犬の散歩中に、新婚旅行で島を訪れていたメキシコ人夫婦に出会って、話をするうちに意気投合し、カカオを探しているという話をしたら、メキシコもカカオの原産地と教えてもらったんです。

カカオの実の収穫期は12月~5月と長い。収穫後、種の発酵・天日干しを経て日本へ運ばれる

それをきっかけにメキシコに行き、カカオの産地だという先住民が暮らす町を散策していると、素朴なチョコレート屋さんがあって、そこからバスで1日行ったところにカカオの生産者組合があると教えてもらいました。行ってみると、農家が数軒あるだけでなにもない。とりあえず泊まるところを探していたら、部屋に格安で泊めてくれる人がいて、その人がカカオ生産者で生産者組合の一員だったんです。カカオを探していると話をすると、組合の集まりに連れていってくれました。

メキシコは1960年代、開拓した土地を自分のものにして良いと政府が開放したエリアがあって、その土地にたくさんのコミュニティができました。基本的に自給自足の生活ですが、現金を得るためにカカオなどの換金率の高い作物を作っています。ただ、安く買い叩かれている状態が続いていて、その状況を変えるために、非営利団体の主導で生産者組合ができたそうです。非営利団体の人たちは、長く政府と戦ってきた人たちです。1993年にアメリカ・カナダ・メキシコの3カ国で結ばれた北米自由貿易協定という、関税撤廃などを定めた協定があるのですが、農家はこれに猛反発、それを政府が徹底弾圧して、対抗してできたのがサパティスタ民族解放軍というゲリラ組織です。非営利団体の人たちは、このサパティスタの人たちです。メキシコは当時内戦状態となったのですが、インターネットの普及で世界中の注目が集まるようになり、停戦に至りました。ただ、当時の問題はなにも解決していません。そんななか、非営利団体の人たちは、世の中を少しでも良くしようと何十年も活動していて、本当に感動しました。僕は絶対に値切らないし、利益を還元できるようにするから、カカオ豆を売ってほしいといったんです。そうしたら、彼らは輸出入の経験もないのに一生懸命手続きをしてくれて、中間手数料も一切取らなかった。今も毎年メキシコに行きますが、毎回歓迎してくれます。素朴な、すばらしい人たちです。生産者さんたちは、自然豊かな環境でコミュニティごとに協力し合って自給自足の生活を営んでいます。そしてカカオ栽培に対する向上心が強い。有機農法で、循環型の方法をとっているのですが、非営利団体の人たちが技術者を連れてきたりして、熱心に勉強して毎年質が良くなっています。

カカオと出会い、僕の人生は好転しました。職を転々としていたのが、やりたいことが見つかり、すばらしい人たちと出会えた。カカオについて情報発信をしていたのをきっかけに、結婚もできたんです。マヤカカオを世の中に広めることで、搾取せずに利益を還元する、みんなで分け合える世の中にしたいというのが、僕の夢です。

チョコレートとはひと味違う、フレッシュなカカオ豆の力強さ

マヤ文明の遺跡が点在するジャングルの奥地で育ったカカオ豆を、丁寧に発酵、天日干しした後、炭火で焙煎しました。農薬・化学肥料不使用で栽培された希少なカカオ豆のそのままのおいしさ、力強さを味わえます。

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分かち合う世の中を作りたい偶然に導かれたカカオとの出会い 株式会社GOROCUBA  代表 片山 吾郎氏

- 生産者さん紹介 - 2019年9月発刊 vol.144

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