プレマルシェ・ジェラテリアの真っ黒のジェラート「ザ・忍者 精進忍者食」は国内外のお客様から高い評価を得ています。これに使われているマクロヘルスくろごパウダーは、有機肥料さえ与えられずに生育した野生種である穀物を丸ごと粉末にしたもの。このくろごの開発者の猪股恵喜氏に、経緯や現在の想いについて伺ってみました。

「光が届かない海の底にいる魚は体中が味蕾細胞。昆虫も植物も味蕾細胞を利用している。みんな味覚で生かされているのに、人間は、その味覚を狂わされているんです。だから、味覚の大切さと空腹の大切さをライフワークとして伝えます」と語る猪股氏

若いころの私は、京都で機織りの修行を経て、創作人形作家を目指していました。創作をする人間は、自然を求める傾向にあります。自然豊かなところじゃないと発想が生まれにくいためです。食にもこだわりがあり、おのずと自然食を求めるようになりました。二人目の子どもが生まれたものの、人形作家として生活を確立できず、自然食品を販売する仕事を始めました。ところが私は物を売ることがまったく不得手で、集客が得意な百貨店で開催される物産展を販路としました。

「くろご」について知ったきっかけは、次女のアトピー性皮膚炎です。なんとか食で治せないものかと勉強していくうちに黒い食品に辿り着き、「黒五類」というものが中国にあるとわかったのです。ところがその黒五類を分析してみると、品質に疑問がありました。それを改良し、日本で普及しようとした方と、あるメーカーの紹介で繋がり、私も仲間に加わることになりました。ところが経営不振と中国工場の存続問題が起きました。そのころ私はプレマさんで扱っている『元気うまみの素』という天然のペプチド出汁を製造するメーカーの顧問に就任していました。このメーカーは世界で唯一、化学を使わない自然製法で、魚を骨もまるごと低分子のペプチドにする技術を持っていました。ペプチドとは、タンパク質が分解されて複数のアミノ酸が結合した状態のこと。分子量が小さく吸収がスムーズという利点があります。縁戚でもある経営者に窮状を伝え、その技術で、消化しにくい玄米などの黒色穀物をペプチド化できないかと相談しました。それから、くろご専用プラントを作り改良を重ね、２年半の研究を経て国産化に成功しました。

弊社のくろごには野生種の黒米、黒大豆、黒ごま、黒松の実、そして、黒カシス（古代のカシス）が入っています。すべてペプチド化されているため、消化に負担がかかりません。黒カシスは、約３万年もの間、ずっと変化を拒んだ頑固な果実です。中国の長白山脈に、漢方薬に使われる野生の植物が採取できる国家管理の場所があります。冬場はマイナス30度、夏場はプラス30度になる。その60度の温度差に耐えうる植物なのです。栄養以前に、生命力に溢れています。

このくろごを飲んでもらうことを、私は勧めてきました。アトピー性皮膚炎の次女にも飲んでもらったところ、一時的に改善したように見えて、完治には至りませんでした。結局、彼女が大学受験が終わった途端にきれいになりました。どんなにいいものも、食べることにストレスを感じてしまっては本末転倒です。そこで、飲むのが楽しみになるぐらいおいしいものにしようと思いました。

採算を度外視し最上質のフラクトオリゴ糖を加えました。糖として吸収されないので、血糖値に影響しません。さらに黒煎り玄米と、海と山の野生植物ミネラルを加えました。野生植物を乾燥させ２０００℃の超高温で焼成すると有機物で構成される毒性のものが完全に焼失し水素を上回る還元力が生まれます。なによりも、くろごが太古のミネラルバランスになるのです。

また、空腹の大切さを伝えています。飽食の時代、朝昼晩と山ほど食べれば不調をきたします。食べる量が減れば臓器は休むことができる。具体的には、朝食をくろごに置き換えることを勧めています。くろごの代わりにプレマさんの『元気うまみの素』もいいです。ペプチド出汁は、消化に一切負担がなく、飲んで十数分で１００％吸収されるため、臓器を休ませることになります。一食置き換えるのなら、ストレスもなく、空腹感に苛まれない。くろごやペプチド出汁を摂取すると本物の栄養が摂れるので脳の報酬系が満足する。すると、暴飲暴食することがなくなるのです。この考えを普及するためにも、この製品が必要でした。

もう一つ、味覚について。味覚は、自分に必要な栄養素を探し出す大切な感覚機能です。舌にある「味蕾」には、甘味・酸味・塩味・苦味・うま味・脂肪味などの成分を感知します。酸味は腐りかけのものを察知し、苦味は毒物を察知します。これらの味覚が狂うと、人は危険から身を守れなくなってしまいます。甘みを感じる「味覚」は炭水化物のエネルギーを探し出す能力です。その味覚を人工甘味料が狂わせています。インスタントラーメンのスープにも脳は騙されます。酵母エキスやたんぱく加水分解物などのうま味や添加物は、栄養の実態がないのに脳に栄養があると錯覚を起こさせます。塩分たっぷりのラーメンの汁を飲むと、血液中に塩分が溢れ、各細胞から水分を回収して血液を薄める。脳から水分を取ると脳が脱水症状になる危険性がある。味覚が正常であれば、そんな危険な濃度の塩分は拒否されるはずですが、グルタミン酸ナトリウムを0.03％加えると塩の角が取れてわからなくなる。このように添加物によって味覚は正常に働かなくなるのです。でも、味蕾細胞は十日で蘇ります。くろごを飲んで本物の美味しさを学習しなおすと、昨日まで食べていたポテトチップスをおいしいと思えなくなる。添加物で作った味を受けつけなくなるのです。

野生動物が、なぜ生き残ってきたか。彼らには栄養学の知識も、学校もない。でも、味覚だけで身体に必要なものを見分けることができる。この味覚と空腹の大切さについて、私はこれからも伝えていきます。