累計122万件出荷!自然食品・自然療法・エコロジー・らくなちゅらる提案サイト

中川信男の多事争論

「多事争論」とは……福沢諭吉の言葉。 多数に飲み込まれない少数意見の存在が、 自由に生きるための唯一の道であることを示す

プレマ株式会社 代表取締役
ジェラティエーレ

中川信男 (なかがわ のぶお)

京都市生まれ。
文書で確認できる限り400年以上続く家系の長男。
20代は山や武道、インドや東南アジア諸国で修行。
3人の介護、5人の子育てを通じ東西の自然療法に親しむも、最新科学と医学の進化も否定せず、太古の叡智と近現代の知見、技術革新のバランスの取れた融合を目指す。1999年プレマ事務所設立、現プレマ株式会社代表取締役。保守的に見えて新しいもの好きな「ずぶずぶの京都人」。

プラントベースの自由

投稿日:

私たちのような日本の自然食屋にとって、動物性素材は一切使わず料理を作る、またそれらに必要な植物性の素材を取り揃えて販売する、というのは実に当たり前のことで、最近取り組み始めたことではありません。しかし、昔から精進料理の伝統のある日本よりもむしろ、西欧諸国や中華圏を中心に動物性素材は一切食べないというヴィーガンやプラントベース食の広がりは近年凄まじく、むしろ日本のほうが周回遅れになってしまった、という現実があります。私も一年半のベジタリアン生活のあとインドから日本に帰ってきたときには外食で食べられるものがなく、ほんとうに困った時期があり、それが自然食屋を自ら経営するというひとつの動機になったくらいです。動物性の素材を食べないという決断をする動機には、宗教的な理由や動物愛護の観点、環境負荷を減らすため、または健康上の理由などさまざまなものがありますが、それがどのような理由であるにせよ、食についての個々人の選択を尊重したいという気持ちが私には長年あり、2016年にフードバリア®という概念を確立し、それを取り払うことを事業のひとつの柱にするという決断をしました。そのひとつの通過点がフードバリアを意識しなくてもすむ多様なバリエーションをもつプレマルシェのジェラートであり、さらに推し進めたのが弊社直営のレストランであるプレマルシェ・オルタナティブダイナーの食制限のレベルに応じて対応できるメニューのシステム化でした。
 
私は思想の押しつけほど嫌っているものはなく、同じ事柄、同じ事象についての認識でも立場や見方によって違う景色が広がっており、正しさを武器に相手を打ち砕き屈服させようとするやり方に嫌悪を感じます。これらの思想の押しつけや自分の考えが正義であり真実であると相手をやり込めてしまうやり方自体が戦争を生み出す根っこになると考え、逆にお互いの多様性を尊重することが戦争と距離を置く小さな市民のやり方である、と信じて植物食以外は悪である、という立場を決してとらずにやってきました。このような論議を注意して観察していただくとわかるのですが、自分の見解が正しいと強硬に主張する人になにかいうと、合理的な反論ではなく「あなたは勉強が足りません、もっと勉強してください」などと、圧倒的に上から目線の吐き捨てるようなコメントを残して話し合いを打ち切ってしまいます。これではディベートを通じた建設的な相互理解に至ることは未来永劫ありません。よって、私たちの仕事を通じた取り組みのポリシーは「その方自身の選択を大切にする」「選択ができる自由を提供する」ということに尽きるのです。

実は少ない選択肢

一方、食の世界についていえば日本の現状では「何でも食べる」ことが前提となりすぎてしまい、自らの食に制限がある少数者には不利益が及びやすい環境も鑑みて、植物性素材だけで料理ができる素材をなるべく多様にご紹介することが大切だと考えています。むしろ、何でも食べる人にとっても肉や魚の代わりになる素材を提供することは有意義なことが多いのです。たとえば健康のためにはたんぱく質をしっかり摂った方がいいという最近はやりのムーブメントのなかでも、プロテインをしっかり摂るなら肉や魚、卵でしょ、または牛乳由来のホエイでしょ、となってしまい、簡単に安く調達できるのはこの手の量販店が手がける素材ばかりです。しかし、動物性と植物性のプロテインは組成の違いから、吸収速度に違いがあり、組み合わせて摂るとよりよい、というメリットがあります。さて、植物性のプロテインをどこでも買える素材から摂る、となると日本の場合にはほぼ大豆一辺倒となってしまい、豆乳を一緒に飲みましょうとか、大豆から作られたプロテインのサプリメントをご一緒にどうぞ、というのが一般的なメディアから得られる情報になってしまいます。その結果、日本では植物食を志しても、たんぱく質を摂るにはとりあえず大豆ですよね、という結論になっているのが実情です。最近、大都会のカフェではオーツミルクが選べるところが増えはしていますが、食卓レベルでは「植物性たんぱく質=大豆系」という流れが長く続き、結果的に大豆摂取が多すぎて、自覚なく胃腸障害やホルモン異常を起こしてしまっている人も少なくありません。さらに、外食で多様性を求めようとしますと、ますます難しくなります。一般的な日本人はいろいろなものを食べているようにみえて、実は決まり切った素材のくり返しで食べ物を選んでいて、外食産業が安く手に入れられる植物性素材は基本的に大豆由来と決まっています。私たちはもう一歩すすめて、家庭の食卓から外食産業の皆さまにまで提供できる植物性素材の選択の幅と自由を広げたいというのが当面の経営上の目標になっています。

コラーゲンまで植物性に

動物食を減らし始めると、どうしても女性には不足しがちなコラーゲン。なんだか美容系の素材に聞こえるコラーゲンですが、実は身体を支える骨の体積の50%はコラーゲンでできています。肌はもちろんですが、実は骨までコラーゲンを必要としていると理解できると、妊産婦はもちろん更年期以降の女性にも非常に重要な栄養であることがわかります。残念ながら日本で手に入るほとんどのコラーゲンは豚由来または魚由来で、なるべくプラントベースの食事をしたいと思っている方には大きなハードルとなっていました。この課題も解決できる品揃えを進めています。

肉も魚もおいしく植物に置き換え

オーガニック農業の先進国デンマーク。遺伝子組み換えも認めない欧州連合での市場を意識すると大豆でたんぱく質という結論は見いだしにくく、オーガニックプラントプロテイン社ではえんどう豆とそら豆から代替肉を考案しました。下ごしらえはお湯に浸けるだけ、肉よりもたんぱく質が多く、味が豊かなので、肉を使うレシピをこれに入れ替えるだけですぐいつものメニューがお肉なしで実現できます

オーガニックプラントプロテイン社Plant MateTM(プラントメイト)を見てみる>>

プラントベースの自由

- 中川信男の多事争論 - 2023年10月発刊 vol.193

今月の記事

びんちょうたんコム

累計122万件出荷!自然食品、健康食品、スキンケア、エコロジー雑貨、健康雑貨などのほんもの商品を取りそろえております。

びんちょうたんコム 通販サイトへ