妊娠の苦労といえば……
最近お会いした妊婦さんたちから、つわりに苦しんだ経験を聞くことが少なくなりました。「つわりは?」と聞くと、「わたしは軽いみたいでよかった」という返事が多いです。ひょっとして、つわりに苦しむ人が減るほど、女性が暮らしやすい社会になったのかな?と思うほどです。
わたし自身は3回の出産ともつわりに苦しみました。つわりがある人もいれば、ない人もいます。また、同じ人でもつわりがある出産とない出産があります。つわりがひどくない人はラッキーという状況は変わってないはずです。
これまで何度か妊婦さん向けの出版物の制作に携わっていますが、識者の方々にはもちろんいくつかの説がありつつも、つわりの原因ははっきりわからないと説明することが多かったです。
この時期にらくになるためには、対処療法が有効でした。わたしは諦めて横になってなんとかやり過ごしましたが、動けない時期によく助けてもらったのは、温熱療法のイトオテルミーやマタニティ鍼(わたしがお世話になったのは刺さない鍼「てい鍼」です)、体感として不思議な効き方だったのは気功。わたしが受けた気功は比較的時間がかかるものだったので、イトオテルミーや鍼が好みでした。
この時期、吐き気や嘔吐などの消化器の症状に悩む人が多いです。そのため、食べ物を工夫して消化をらくにする方法もあります。そして、もし尿のケトン体の検査で数値が高ければ、栄養不足や脱水の可能性があるので、点滴で補う必要があります。ケトン体は当時あまり見かけない用語で、飢餓状態などと説明され、よほどやばいのか!?と心配になったものです。しかし、糖質制限でこの用語を見かけるようになった現在、そこまで異常に感じられないかもしれません。わたしは点滴したことはないですが、点滴を打った人は、らくになると言っていました。
らくをめざして
どうにか付き合うものでしかなかったつわりの原因と目されるものを明らかにした国際チームの研究が、約1年前に発表されました。治療薬につながる可能性があるそうです。その後、治療薬の開発に成功した話はまだ聞きませんが、論文の筆頭著者は、つわりに苦しんだことのある女性研究者です。
特に出産については、科学的にまだ解明されていない部分が多いので、なにか不思議なことが起こるのも理解できると思います。しかし、これまでの研究は主に男性研究者によっておこなわれてきたため、女性にとって重要なテーマでも、男性にはあまり関心が持たれないことがあります。そのため、研究があまり進んでいない分野が多いことが最近指摘されています。つわりもその一つのようです。かかりやすい病気や原因になる箇所、薬の効き方や副作用など、性差があることが、最近では指摘されるようになっています。薬によっては女性には害になりうるケースもあるらしく、薬がなんとなく合わない経験が総合的に多い女性は、プレマで良いものを買い物されていたりするのかなぁと思います(私がそうです)。
ひどいつわりの話を聞くことが減った気がする理由として、さまざまな知識が活かされて、少しずつみんながらくになった結果だったらいいなぁと思っています。2月は暦のうえでは春ですが、まだ冷えは体の芯に入りやすい時期です。さらにらくになるためのもう一押しとして、油断せず、冷え対策を続けてくださいね!
※体を温めることで健康を促進する療法の一つ。薬草を線香状にしたテルミー線に火をつけ、2本の金属管に入れて全身を摩擦したり、圧を加えたりして熱を入れる