累計122万件出荷!自然食品・自然療法・エコロジー・らくなちゅらる提案サイト

ながれるようにととのえる

身体の内なる声を味方につけて、生きる力をととのえる内科医、鍼灸をおこなう漢方医のお話

やくも診療所 院長・医師

石井恵美 (いしいえみ)

眼科医を経て内科医、鍼灸をおこなう漢方専門医。漢方や鍼灸、生活の工夫や養生で、生来持っている生きる力をととのえ、身体との内なる対話から心地よさを感じられる診療と診療所を都会のオアシスにすることを目指す。
やくも診療所/東京都港区南麻布4-13-7 4階

過ぎていく春から学ぶこと

投稿日:

花粉症は、春になれば毎年当たり前に症状が出るもの。多くの方はそう信じて疑わない。しかし、本当にそうなのだろうか。そもそも、花粉だけが原因なのだろうか——そんな風に、日々の当たり前に対してふと「もやもや」と考えたことのある人はどれくらいいるだろう。

今年の春も、花粉の症状に悩む人が多かった。そんななか、30年近く抗アレルギー剤を使い続けてきた70代の方が、「本当にこれでいいのだろうか」と思い立ち、私の漢方外来を受診された。

一方で、長く診させてもらっているある患者さんは、出会った当初は重い花粉症だったが、心身への養生をおこなううちに、今では春もすっかり涼しい顔で過ごしている。この方は「どんなときに症状が悪化しやすいか」をご自身の身体の声に耳を傾けながら丁寧に試行錯誤し、風邪の初期症状の段階で対処できるようになった。日々の自分の身体の声を聴こうとする姿勢は、不調を減らし、セルフケアをしやすい状況へと良い変化をもたらしてくれる。

鼻水やくしゃみが出ればアレルギーとみなし、薬で症状を抑える。それはごく一般的で、今のままで困っていない人にとっては適切な選択だ。しかし、数日前にはじめて内服した人と、数十年と内服して対処している人とでは、病名は同じであっても漢方的に捉える背景(体質や根本原因)は異なってくる。

表面の症状を抑えるアプローチを「表治」、体質改善を目的とした根本的なアプローチを「本治」というが、漢方であっても治療には両面がある。どちらが良い悪いというわけではなく、状況に応じて選択しつつも、大切なのは身体がわざわざ不調のサインを出してお知らせをしなくても良い状態に、自らの心身の環境を整えてあげることではないだろうか。

春は自然界が芽吹き、太陽の光も強くなる変化の季節。同時に、冬の間に体内に燻っていた炎症が、鼻や目などの「穴」から外へと出やすくなる時期でもある。また、厚着から薄着になるなかでひやっとする肌寒い風を感じやすく、いわゆる風の邪気の影響を受けやすい。これは秋の風も同様だ。花粉や黄砂などの外的な要因と、自分自身の内なる環境。その両方が複雑に関与し合って、症状は生まれる。つまり自覚症状とは、敵の攻撃ではなく、身体が自分をなんとか守ろうとして声をあげ、一生懸命に伝えてくれている「お知らせ」なのだ。

同じ環境にいても、症状が出る人と出ない人がいる。ひどく困っている人と、そうでなく過ごせている人がいるのはなぜか、不思議に思ったことはないだろうか。

医療における自覚症状への取り組みも、言ってみれば、都合の悪い嫌な症状は「敵の声だからやっつけてしまえ」と、見えないところに追いやったり、目の前から排除さえしてしまえば良いとしたりしかねない雰囲気があり、私はどうしてもそこに違和感を覚えてしまう。嫌なものは排除する、自分がうまくいかないことはだれかのせいにする、という仮想の敵を作ることへの抵抗感のなさ。それが、現代社会の空気感と同じ感覚に繋がっているように感じてしまうのだ。普通だと思って対処している取り組みのひとつが、もしかしたら、極端で排他的な思想にどこかで繋がってしまう気さえする。

どちらか一方だけが悪者という考え方ではなく、外的な誘因も、内なる困り具合も、ともに影響し合って今の自分がある。自覚症状は、絶大なる「味方」として声を大にして教えてくれているのだ。

うまくいかないときに、外の環境を整えることと同時に、「内なる環境の変化も関与しているかもしれない」ともやもやしてみること。それこそが、私たちが日々を少し楽に生きるための、小さなヒントにつながっている。

- ながれるようにととのえる - 2026年7月発刊 vol.226 -, ,

今月の記事

びんちょうたんコム

累計122万件出荷!自然食品、健康食品、スキンケア、エコロジー雑貨、健康雑貨などのほんもの商品を取りそろえております。

びんちょうたんコム 通販サイトへ